社会調査には数量的なものと質的なものがある。前者はアンケートなどに代表されるが、これでは「個別の事情」が表に出にくい。それに対して後者は、全体は見えにくいかもしれないが「個別の事情」を明らかにする方法である。
<br />しかし、個別の事情となると研究対象となる団体や個人が拒絶する事がある。上手く入り込んでも、当事者の視点にどっぷり浸かってしまい、何のために観察しているのか、何を明らかにしたかったのかを忘れてしまう事がある。誰もが落ちやすい穴なのである。これらについて、どのように対象に近づいていくのか、どうやって観察する事を忘れずに続けるかについて書かれている。
<br />まさに、学部学生またはフィールドワークを必要とする職種の人には、一度は読んで欲しい本である。
私たちは普段、無意識のうちに「あたりまえ」「普通」等の表現を多く使っています。しかし、その「あたりまえ」「普通」は本当に誰にとってもあたりまえで普通なのでしょうか。私にとっての「普通」と、あなたにとっての「普通」は違うかもしれません。
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<br />社会学に限らず、人文科学系の研究を行っていると、この問題によく突きあたります。
<br />本書では、調査の障害となりうるこうした「普通」「あたりまえ」の意識についてうまくまとめられています。
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<br />見慣れないもの・聞きなれないものを無意識のうちによりわけてしまうのは、安心・安全を求める生物としての人間の本能のひとつかもしれません。
<br />ですが、客観的に社会の多様な側面を見ていく際にはこうした意識が障害となることが多々あります。本書で取り上げられているような、社会的マイノリティへの調査においてはなおさらそうでしょう。
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<br />特に、初めて社会調査に触れる方にとっては、本書のような本を通して、自分の中の「あたりまえ」の意識に気づいておくことはきっと有益だと思います。
<br />進学・就職・転職等で全く未知の世界に飛び込んだ方も、本書を読むことでが自分の今までの人生での「あたりまえ」を見つめなおすいい機会になるかもしれません。
社会調査のフィールドワーク(訪問面接)の筆者の実体験をもとにそのノウハウを整理したものである。ひらたくいえば、調査対象者になりきるということになる。
<br />ゲイスタディーズ、エスノメゾロジー、グラウンテディッド・セオリーなどあまり聞きなれない専門用語の解説もある。
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<br />私は、市場調査会社に勤めていますが、特にフィールドワーク部門のスタッフが読むには大変参考になりそうです。
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