従来の標準的経済学が前提としていた、「合理的経済人」。
<br /> この前提を疑わない、考えないことが、標準的経済学を安定したものとしてきた。
<br /> 本書の主張する経済学は、「経済は『感情』で動いている」、「人は合理的には行動しない、合理的には行動できない」人間を解明し、無理の上に築かれた標準的経済学のその無理を提示し、無理の無い経済学への道を示す。
<br /> 新書の版型に、ここまでの内容が盛り込まれていることに驚く。
こういう事書くと駄目なんだけど、一言で言うと
<br />「人事部と経営者に読ませたくない本、NO1」
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<br />今までの経済学では「合理的」すぎる人間のことばかりモデル化してきたため、現実にそぐわないので、生まれた分野の本。
<br />読んで思ったのは、「行動経済学」はモノ売る人にはためになるだろうなあ。
<br />心理学的な経済アプローチだから、どうして人は「合理的」じゃない経済行動をしてしまうかを
<br />説明してくれる。ということは、これ逆に政策や手段に使う人も…
<br />人事には使うな!!
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<br />そして、翻って既存の(と言われる)経済学はどう見えるかというと「では、自分や社会が本当に合理的に行動するには」ってことを教えてくれると気づく。
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<br />総体としての経済学を強化する本。別に片方がいいというわけではない。
いわゆる「標準的経済学」は、超合理的な「経済人」を仮定して理論を組み立てている。
<br />しかし、全てを合理的に考える「経済人」という人間は存在せず、
<br />その仮定の元に理論を組み立てた経済学は砂上の楼閣にすぎない。
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<br />それに比べて、人間の行動という現実をふまえて理論を構築している、
<br />本来あるべき学問、それが行動経済学だと言える。
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<br />これだけ内容のある本が、新書という安い形で出版されるのは非常に恵まれている。