この本を若者が読んだら、「なぜ中高年は会社を辞めないのか?」と思うでしょう。
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<br />それくらい、今の社会は混沌としているということですな。
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<br />昭和的価値観と21世紀的価値観のせめぎ合いというところでしょうか?
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<br />ただ、確実にわかっているのは・・・
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<br />人の言うことを信じて人生を預けてしまうようなヤツに未来は残っていない
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<br />・・・ということですな。
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<br />そして、得体の知らない不思議なモノを信じ続けてきた人間は、自分の権利を守るためだけに必死になっている。
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<br />なるほど・・・そう、うならされる箇所がたくさんあります。
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<br />そして、この本が素晴らしいところは、格差社会の原因を年功序列に求めているところ。
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<br />まさに!です。
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<br />欧米的というかアメリカ的な社会システムが格差の温床のように言われていますが、日本的システムも格差を生み出す仕組みなのです。
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<br />年齢と功績によって序列を決める仕組みが年功序列。
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<br />それって、格差以外の何者でもないでしょう。
富士通の人事部出身で、そこでの「成果主義」の問題点を指摘して一躍有名になった著者の、日本の企業・政治に対する痛烈な批判の書。辞める若者ではなく、そうしている企業・体制に問題あり、というメッセージには全面的に賛成。目的意識を持たせるような選考をして、入社したとたんに(目的と乖離した)下積みでは、そりゃ若者も辞めるよね。
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<br />「日本企業のキャリアなんて、我々は全く評価しない。あれは本質的にマックのバイトと同じだから」とか、「体育会系が企業に好まれるのは、主体性が無いから」とか、「転職で成功する人は1割程度」とか、刺激的だけど納得できる指摘が満載。
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<br />ただ、実は本書では企業の就職とかだけではなく、「公務員の定員減」という公約がいかに「まやかし」だったか、「福祉」とか「年金」という名目で若者から搾取しているとか、「天下り」の一般企業からは考えられない実態とか、政府等への痛烈な批判も多い。特に「格差社会の問題で見過ごされているのは、世代間格差」という点は全く賛成。でもどうせなら、年金なんて今すぐカットして、どの年代でも、払う金ともらう金の率が同じになるよう、世代間格差をなくすべき、というところまで突っ込んで欲しかったけど。
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<br />最後にグランパスのベンガル元監督の「日本人は与えられた役割を果たすのは得意だが、状況を主体的に判断して行動するのは苦手」という言葉が引用されていた。その通りと思う。世界と戦うには、主体的に判断できるリーダーとなる人材を育成しなくてはね。
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<br />若者の就職問題の話だけではなく、鋭い社会・政府批判を、とても読みやすく展開している良書だと思います。
まさにこの本は現代の日本の社会の閉塞感を言い当てているようだ。今まで漠然とした閉塞感を感じてきた理由、あるいはなんとなく若者の元気がない様子の原因は、実はここで書かれていることがらであったのかと思い知らされた。そう言われてみれば、まさにそうであると思う一方で、そう言われないとどこに原因があるのか全く分からない現代の複雑な社会システムを、裏側からくっきり明瞭に解説している。
<br />また、階級社会ではないと言われ続けてきた日本は、実は世代間の格差社会であったことに気がつかされることに、目から鱗が落ちる思いである。就職をひかえた学生や既に社会人になった若者は是非読んでみる価値がある。