学生・社会人とラグビーを、プロップとして続けていた私にとっては、非常に面白い本で「よくぞ取り上げてくれました」という感じでした。私が現役時代に対戦した人たちも登場しているので尚更面白かったです。
<br />
<br />ここに書かれていることは、世の中(スポーツ欄、スポーツ紙・誌でさえ)ではほとんど取り上げられることがなく、ラグビー経験者だからといってわかる話ではありません(つまらない話である、ということではありません)。
<br />ラグビーではほとんど取り上げられない「スクラム」について、特に「フロントロー」について語られているからです。
<br />
<br />私は、ラグビーの試合を見に行くと、自分の経験からスクラムの駆け引き、特に1列(フロントロー)同士の駆け引きに目がいくのですが、周りの観客は「さっさと組めよ」とか「なにやってんだよ!」とか言われている状態。このように世間とプロップの認識にスクラムに対してのものの見方にこれだけ差があると、人に「自分はラグビーやっていました、ポジションはプロップでした」と言うのが精一杯で、それ以上は自分の経験としてのラグビーではなく、一般論としてのラグビーの面白さを語るのが精一杯でした。
<br />
<br />そんなプロップを取り上げて書籍化するなんて、売れるのかどうか?とか大丈夫か?などと心配してしまうのと同時に、素直に「ありがとう!」という気持ちがこみ上げてきます。
<br />
<br />プロップは縁の下の力持ち。トライをするチャンスも少なく、脚光を浴びることもなく。
<br />でもスクラムに対してのこだわりは人一倍。
<br />これだけの諸先輩がたも自分たちと同様に、華やかでなくてもスクラムにこだわり、誰よりも対面勝負にこだわってきたことがわかるだけでも、非常に勇気がわいてきます。
<br />
<br />現在プロップをしている方、もしくはしていた方!是非お薦めします。
<br />そして自分のポジションに誇りを持って生きましょう!
この本はスクラムの解説書ではなく、スクラムにこだわっている人々を描いている本である。スクラムを組んだことの無い私にとっては、この本を読んでもスクラムが何かはやっぱり解らない、なぜスクラムがくずれるのかもわからない、本の中でもいろいろな人がスクラムについていろいろな説を述べていて良く解らない。しかし、この本を読むと、「スクラムの強さは体重差だけで決まるものでは無い」「スクラムはミリ単位の体の動かし方・駆け引きで強さが決まる」「コラプシング(スクラムを崩す反則)の判定は、あやふやなものらしい」など、スクラムは複雑・哲学的なものであり、情熱を傾けるに足るものであることが解る。とにかく、スクラムを組む人々の「こだわり・情熱」が良くわかる本である。しかし、こういう本に外国人選手の名前が少ししか出てこないのが、日本ラグビーの限界を示している、もっとおもしろい世界のFW選手を取り上げて欲しい。また、ラグビー界の人って異常に出身校や所属会社にこだわっていて、部外者にとっては気持ち悪い。他のスポーツではこんなことは無い。ラグビー見るだけの人(特に私)にとっては、早稲田と明治のどっちが強かろうがどうでも良いことであって、JAPANが世界に通じるかどうかが一大関心事項なのだ。ライターの方々はそのことを肝に銘じておいて欲しい。選手もライターももっと世界に出て行って欲しい。
おもろい。爆笑と感嘆の連続でした。一気に読んでしまいました。ラグビーにはこんな愉快な世界があるとは。登場するプロップの言葉はどれも魅力的です。「スクラムを押すのはロックの仕事である。スクラムを押せないのはロックの責任、押されるのはフロントの責任」等々、経営的な視点からも相通じるものがあります。石山次郎さんや長谷川慎さんの対談は傑作です。笑いの裏に男としての極みを感じました。こんな本が出るとは、日本ラグビーもまだ捨てたものじゃありません。お奨めの一冊です。