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岩城音楽教室―美を味わえる子どもに育てる ( 岩城 宏之 )

70年代にカッパの本として書かれたエッセイの復刊らしいです。そして、当時のまえがきによると、それまで音楽については書かないようにしていた岩城さんが初めて正面から音楽について書いた本だということです。<p>以降、岩城さんは数多くの名エッセイを書かれ、今でもその多くを読むことができます。山本直純さんとの友情を描いた『森のうた』なんて大名作もありますが、彼の音楽エッセイのすべてのエッセンスは、最初に書かれた本書にあると思います。たぶん、いちばん面白いです。<p>音楽教育のことを教育ママに語る、という体裁をとっていますが、彼は繰り返し「音楽は楽しいもんだから、あなた自身が楽しみなさいよ。リズムを感じて、体を動かすことが音楽なんだよ」と読者に語りかけます。ある意味、挑発がうまい。<p>彼は理屈ではなく、いろんなエピソードを積み重ねて、音楽教育について語ります。伝えたいことを直接言ってしまうのではなく、「カラヤンはこうだった」「ぼくの先生はこうだった」「こんな人がいた」と。そのエピソード一つ一つがべらぼうに面白い。感動的なんです。<br>私は、交響曲とかが好きじゃないので、岩城さんが振った演奏も聴いたことがありませんでした。でも、本書を読むと聴きたくなります。本書から、彼の音楽への愛が伝わってくるからです。<p>音楽を愛するすべての人への、捧げものだと思います。絶対に損はしません。

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