句読点の使い方に違和感はあるものの、さらりと読み通せる内容。
<br />36ページの後部座席・前部座席のくだりは、漫画ピーナッツで主人公のチャーリーブラウンがずっと以前に主張した内容にかなり似通っている("スヌーピーたちのアメリカ"にも引用されている部分)。著者も編集者も気づかなかったのだろうか?
書かれている内容はほどよくマニアックで
<br />鉄好きには好感を持って迎え入れられるもの。
<br />とはいえ、のわぁんとした文体で綴られているから、
<br />旅好きやエッセイ好きの人でも、とっても楽しく読める本。
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<br />とはいえ、中には女性専用車両や痴漢問題とった
<br />まさに「女子と鉄道」ならではの話題も出てくる。
<br />そういえば鉄道って、
<br />マニアックな好奇心を満たしてくれるだけのものでも
<br />日常を離れた旅心を演出してくれるだけのものでもなく、
<br />多くの人にとっては、日常の一部に当たり前に溶け込んだ
<br />ごくごく身近で、社会的な存在だったということに、
<br />この本を読みながら、今さらながら気づいた。
<br />だから、新鮮な気持ちで読めて、なるほどなぁと思わされて、楽しかった。
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<br />ついでに、
<br />ローカル線乗りたさにわざわざ時間かけて出かけてきて、
<br />肝心の車中ではほとんど居眠りしている著者に
<br />かなり笑ってしまった。
「茶道、華道、鉄道。女子にも乗れる鉄道入門」というのがこの本のキャッチフレーズ。「男の世界」とされる鉄道趣味に、酒井順子が独特のタッチで鋭く切れ込む。もともと「鉄の世界」に興味があったという酒井順子が日本中の鉄道を体験したルポ調の作品。立山のナローからリニア・モーターカーまで、地方のローカル線から山手線、新幹線までと至れり尽くせり。
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<br /> 鉄分の高い趣味人が読んでも結構笑える。中でも新幹線の顔の分類は、なるほどと思わせる。詳しくは本を読んでください。この本がきっかけになって鉄道趣味に幅広い市民権が与えられることを期待したい。
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