敗因と : 金子達仁戸塚啓木崎伸也

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敗因と ( 金子達仁戸塚啓木崎伸也 )

内容は、ドイツＷ杯において日本代表が、選手間の対立と監督の自由放任主義により内部崩壊していたことをインタビューから浮き彫りにしようとしたもの。 ジーコ、鈴木通訳、ヒディング監督、城ら元代表のインタビューは、そのひととなりが読み取れたり、あの時そんなことがという意外性があって面白かった。 しかし、肝心の代表選手へのインタビューとなると、実名を出して答えているのは中田浩二と土肥ぐらいしかおらず、ほとんどが匿名によるもの。 どの選手がどういう視点から発した証言なのか分からない上、中田英寿の証言が取れていないなど選手に偏りがあるので、証言というより陰口っぽい印象を受けてしまう。 少なくとも、フランスＷ杯のインタビュー『６月の軌跡』のように、選手・監督ら当事者の証言が揃っていて、そこから読者が敗因を考えられるようにはなっていない。 オフレコのコメントで名前を出せなかったのは分かるけど、敗因の判断を読者に投げかけるにしては、その客観的材料を提供するより、スポーツ新聞の暴露記事っぽい方向に傾きすぎだと思う。 しかし、日韓Ｗ杯のドキュメンタリーＤＶＤ『６月の勝利の歌を忘れない』のような選手の日常記録はおそらく作られないので（内情を考えれば）、日本料理店での決起集会など、選手達のピッチ外での様子が分かる証言は貴重。 難はあるものの、全体的にはサッカーファンなら買って損はない内容なので星４つ。

中田だけが戦っていた」キャンペーンの裏で、 もっともガキンチョだったのが、ほかならぬ中田英寿だったという事実には、ほんとにがっかりした。 彼が将来日本のサッカー界に貢献することは、まず無いだろう。 元ファンとしては実に残念だが、この本を読んだおかげで変に期待しないで済む分、逆によかった。目が醒めた。

組織と名が付くものは全てその内部に軋轢を生む。 では、その軋轢を収束さえるのは何か？誰か？ その答えを見つける事は、誰を、何をもってしても不可能。 3人の著者によるｵﾑﾆﾊﾞｽ形式による、あの大会での日本代表を 追った半ﾄﾞｷｭﾒﾝﾀﾘｰ。 一番記述の少ない金子氏の名前が一番大きく列記されているのは 売れているﾗｲﾀｰは誰か？という無言の序列を示すようで 苦笑する。 記述の中身として興味深いのは戸塚氏の記述。 ほぼ会場におけるTVｺﾒﾝﾃｲﾀｰの発言を引用して 日本代表を客観的に浮き彫りにしていく作業。 いつもｼﾞｰｺ監督の隣にいて一喜一憂していた鈴木通訳の 発言も興味深い。 逆に疑うのは木崎氏の部分。 選手のｺﾒﾝﾄを大部分引用しているが、殆ど匿名。 また一体、どのﾀｲﾐﾝｸﾞでその発言をしたのかさえ明確ではない。 匿名であることはまだしも、中田選手は実名で記述されている。 そこに著者の意図的なﾐｽ･ﾘｰﾄﾞを感じてしまう。 ﾎﾞﾝの日本食ﾚｽﾄﾗﾝ「かみじょう」での「決起集会」のｴﾋﾟｿｰﾄﾞは大変興味深い。 まるでｻﾗﾘｰﾏﾝである私の日常を彷彿させてこれまた苦笑。 中田選手、意外とｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞな日本人・・・。 ただ記述にもあるが店で同席した日本人老夫婦への無視。 こういう事は、大人はしない、という事。 金子氏の記述はお約束通り。 相変わらずうまい。でも。今は1998年ではないのだ。 ﾌﾗﾝｽ大会の時と事情もﾒﾝﾊﾞｰは違うのだ。 ましてやそれぞれが色々な経験をして、明らかな進歩を 遂げているのだ。 著者にも進歩を遂げて欲しい。 ただ、ﾋﾃﾞｨﾝｸﾞ・現ﾛｼｱ代表監督へのｲﾝﾀﾋﾞｭｰで 蒼白になる「たつー」の顔が浮かぶようで楽しい。 NHKでの特集番組で白血病に冒された少年が必死になって 中村選手の活躍を期待して応援していた姿を思い出す。 彼は、自分が病魔と闘う姿と中村選手の激闘を重ね合わせていた。 つまり日本代表というものは、他のどのｽﾎﾟｰﾂであれ そういう宿命を負っている。ｻｯｶｰの世界では更に。 残念だがそういう部分に言及しておらず、内部崩壊に ｸﾛｰｽﾞｱｯﾌﾟし過ぎた結果、書籍としての重厚感は希薄。 まるで写真週刊誌の記事の寄せ集めのよう。 そんな世界は私の周りにいくらでも存在する。 私が帰属する会社、私が所属する部署に。

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