<br /> 監修の石黒先生はつい先日「フォレストの改訂?アァ、あれはもう改訂するとこあらへんねん。」
<br />とおっしゃってましたが、舌の根の乾かぬうちにいきなり5版ですか、こりゃ、まいったなあ。
<br /> 階層的記述と網羅型記述のどちらが支持されているのかは本書の驚異的販売部数が答えを
<br />出してしまっていますので今更どうこう言えません。が、索引をつぶしてゆくが如き本の読み方を好む方も
<br />結構居るので、そのようなむきには読みづらい構成だろうと思います。
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<br /> フォレストのクライマックスはやはり仮定法の解説だと思います。この部分だけを何度も
<br />繰り返して頭に叩き込む、というスタイルもありかと。
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<br /> 現代の文法軽視の風潮は将来、英語学のスラム化を生むことになりましょう。判断の根拠を
<br />もたない学問は体系を維持できなくなるからです。本書がそのテトラポッドにならんことを祈
<br />るばかりです。通算160万部も売れた参考書は今だかつて日本に無いわけですから。
第4版の良さはわかっている。この第5版はまだパラパラとしか見ていないが、一つ素晴らしい改善点を見つけたので、ここに報告したい。もっと詳しいレヴューはいずれ書かれるだろう。
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<br /> 話法の転換の記述である。高校では話法の転換というと、hereはthereにnowはthenにと機械的に書き換えさせるが、あれはインチキである。話法は状況に対する依存度が高いので、形式合理性を中心にした学校文法の体系では、一種の鬼っ子になってしまう。要するに状況次第で、hereはhereのままになるわけだ。本書も高校生向けの文法書であるから、機械的に書き換えさせるための表は付いている。
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<br /> 改善されたのは、本当は機械的にやれるわけではないのだという注意書きの部分である。第4版では小さな活字の、文字どおり注意書きでしかなったが、この第5版では本文の項目として立ててある。現実に英語を使う状況を考えれば、この問題の重要性は明らかだから、それに配慮したのであろう。些細な変更のようだが、大変重要な認識である。
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<br /> そのほか第4版と較べると、紙の質が変わったのだろうか、本が軽くなったように感じられた。良書は更なる改善を加えながら、末永く使われて欲しいものである。