著者のことを何となく知っており半分、興味本位で読んだがいい意味で期待を裏切られた。
<br />とにかく言葉のパワーをこんなにも感じた本は無い。
<br />自分がこんなにも前向きになれたのも、人生に自信が持てるようになったのも、著者が死と向き合って得た言葉のパワーのお陰だ。
<br />人生の総仕上げという事業計画を書くくだりは圧巻。
<br />静かに淡々とたたみかけてくるところは最高にドラマチック。
<br />とにかく必読の一冊である。
本書は、ガン患者である著者の人生とそこでの経験が綴られている。
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<br />「死」という問題に対して、思想的な主張がなされているものではない。し
<br />かし、著者の生の経験(私たちもいつかは経験するもの・しかし、今は実
<br />感が湧きにくい経験)が確かに表現されている。
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<br />本書は、「死」を哲学的に語るのではなく、余命宣告を受け、「死」が迫って
<br />いる著者のvocationの一つとして、自己のなすべきことの実行である。著
<br />者が何をしたいのかは、本書をお読み頂ければ分かると思います――それ
<br />は、私たちに共通の問題であり、私たちの行動を喚起するものです。
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<br />「死」とは、私たちにのすべてに訪れ、最大の平等である問題です。私たち
<br />には必ず、一回だけ訪れるものです(著者には二回訪れたようですが)。
<br />それを無視するのも自由ですが、明確に意識し、考えることで、生きてい
<br />る自分がしなくてはならないことが見えてくると思います。ですから、一
<br />度は「死」を考えてみてはどうでしょうか?
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<br />「死」を考える際に、本書のように、個人の体験が語られている書を読むこ
<br />とで、「死」を現実的に意識できると思います。類似する書は多くあります
<br />が、本書はその一つとしてお勧めできるものです。
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<br />因みに・・・
<br />「死」という問題に対しては、プラトンの「パイドン」やV・E・フランクル
<br />「夜と霧」に深い洞察を求めることができます。
やや綺麗に表現されている印象もありますが、著者が意欲的に病と闘う姿は永遠のヒーローといいますか、読者に感動を勇気を与えるものです。確かに日本の医療は色々な制限があり、チェレンジすれば治る手術や治療を受けられないケースが山ほどあります。これはある意味、仕方のなことですが、病気を抱えている人や家族はそんなことは言ってられませんよね・・・。
<br />色々かんがえさせられた貴重な本でした。
<br />藤田さん!ありがとう。そして、がんばって。