本書は、脳科学者(茂木健一郎氏)とマーケティング研究者(田中洋氏)が、人間の「欲望」についてそれぞれの立場から解説した本である。脳科学の視覚からマーケティングを考える「ニューロ・マーケティング」に関する入門書とも言える。ニューロ・マーケティングは注目されているが、それに関する本はザルトマンの「心脳マーケティング」程度しかないので、本書は大きな意義がある。
<br /> ビジネスマンにとって、脳科学者の解説は、いままでなじみのない概念を使ったものが多く新鮮である。例えば、「ブランド・ロイヤルティ」はブランドへの「アタッチメント(愛着)」という概念で解釈され、「アタッチメント理論では・・・」といった展開で解説が進む。
<br /> 本書は、マーケティングに携わるビジネスマンにお勧めだ。マーケティングという幅広い範囲の中から「欲望」というテーマに絞ってはいるものの、若干総花的な議論になっているのが難点だが、今後、それぞれのトピックについて深く議論した本が出てくることだろう。
読みたかった本がでてきた!という感じです。これで終わらずに
<br />先の話しが知りたいと思いました。定義や難しい言語を
<br />必死に学ぶのではなくて、脳とマーケティングがわかりやすく
<br />つなげてくださっているので、地に足がついたような課題を
<br />見つけられて読んだ甲斐がありました。ヒント満載の本です。
この本で茂木健一郎さんは文学や芸術にとどまらず新しい領域を開拓されている。私のような茂木さんの熱心な読者としては好奇心を刺激されずにはおられなかった。感想を一言で言えば、茂木さんはどこでも茂木さんだということだ。ビジネスやマーケティングについて発言されても、脳科学をベースとしてわかりやすく、かつ面白く人間の欲望についての解説が展開されている。ある意味では茂木健一郎入門書としても最適ではないだろうか。共著の田中さんの言われる欲望論は、普段読むビジネス書と違って新しい知見に満ちていた。実務の方は本書を紐解くことでマーケティングについてのヒントを得られることだろう。巻末の対話もユーモアを交えて楽しく読むことができた。