最後まで自分を亜也さんの状況に置き換えて考えることはできませんでした。
<br />でも、もし妹が病魔に襲われたら亜也さんの弟さんや妹さんのようになりたい。
<br />もしも子供が難病と向き合わなければならない時は潮香さんのような母でありたい。
<br />そう強く思いました。
毎日くだらなく時間をつぶしながら、何かしらに不満を持ちながら生きている自分が心から恥ずかしくなった。
<br />歩け、立て、自分の好きな時間に、好きなように、好きな場所に行けるこの当たり前の自由…。
<br />亜矢ちゃんのように、私よりずっとがんばりやさんで、ずっと賢くて、人に役に立ちたいと、殊勝な思いを抱いていた少女が、そんな当たり前の自由を奪われたこと。
<br />その当たり前の自由が、どれほど尊いか、ということ。
<br />私は忘れていた。
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<br />亜矢ちゃんの日記は、私にはあまりにも痛く、そして綺麗だ。そこには真っ直ぐに澄んでいる亜矢ちゃんの意思がある。後半にいくにつれ、痛さは増す。字も判別できないくらいに揺れ、亜矢ちゃんの精神を表すように細く震えている。
<br />それでも、そこに見え隠れする亜矢ちゃんの人柄は変わらない。揺ぎ無く太い。
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<br />「人の役に立ちたい」日記の各所から、亜矢ちゃんのか細い声が聞こえてくるようだ。亜矢ちゃんの苦悩の源泉はそこから発していること。
<br />くだらない不満を、ぐちぐち言っている自分がいやになる。自分以外の人間に対して、いつからか優しさを持てなくなった自分が泣きたいほどいやになる。
<br />感謝の気持ち。人は一人では生きられないのだということ。亜矢ちゃんはもう一度思い出させてくれた。
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<br />不自由な病床で、心無い人から何度も嫌な思いをさせられながら、こんなにきれいなことばを綴り続けた可愛い少女がいること。私は知ることができてよかった。亜矢ちゃんは私と同じ、文学少女だったんだね。司書になりたいと思っていたんだね。変な共通点がまた私の胸を締め付ける。
<br />私は明日から、すこし生き方がちがうかもしれない
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<br />そんな風に思わせられる、大きな大きな一冊
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この本を読んで、
<br />平凡な日常ながらも、いま自分が生きていることを大事にしたいと思った。
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<br />この本の内容は、
<br />「脊髄小脳変性症」という病に冒された亜也ちゃんと言う1人の少女が、
<br />発病から病により字がかけなくなるまでに彼女自らの力で書いた日記を、
<br />彼女の母がまとめたものである。
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<br />終盤にさしかかり、
<br />序盤では普通の女の子であった亜也ちゃんが、
<br />だんだんと病に冒され、
<br />心と体をすり減らしながらも、
<br />生きることを必死に選択していく姿に胸を打たれる。
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<br />世間へのグチも自分自身への悔しさも。
<br />1人の少女が必死に生きる様をリアルに記録されていて、
<br />誇張されたヒューマンドラマとは違った現実を心に訴えてくれた。
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<br />そして、
<br />この本を亜也ちゃんが生きている間に出版したお母さんを凄いと思った。
<br />亜也ちゃんはいつも「誰かの役に立ちたい」と考え、間逆の現実に苦しんでいた。
<br />この本はベストセラーになったように、確実に何人もの人間を救っている本だと思う。
<br />彼女が生きている間に、この本で彼女の夢を叶えてあげた母の力を尊敬する。
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<br />そして、今生きていることに感謝する。
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