コロンビア、ブラジルと二つの国に渡り取材を敢行した旅行記です。
<br />作者の視点を通して、南米人のおおらかさが伝わってきました。
<br />それは「ワイルド・ソウル」で、ケイが「日本は貧乏くさい」と言わしめたのと対比されたように、南米人との尺度の違いを浮き彫りにしていたと思いました。
<br />「ワイルド・ソウル」上巻ではあれほど紙幅を割いて日本国政府を糾弾していたのが鳴りを潜め、ブラジル人の風俗、国民性に思考が及んでいるのに少し違和感がありました。日系一世を気遣って敢えて取り上げなかったのでしょうか。旅行記としては面白かったですが、作者の激しやすい性格に気後れしたので、★一つ減じさせていただきました。
<br />こんな人と飲みに行ったら怖い...。やっぱりハードボイルドなんですね、この作者は。
快作、「ワイルド・ソウル」を書くための、作者の南米(ブラジル・コロンビア)への取材旅行を記した紀行文。とはいえ、外務省から渡航を止められているような場所への取材旅行であり、ここまで命がけで作品を書いている人間はそうはいないだろう。
<br />作品を通じて感じられるラテン民族の鷹揚さと熱さ、これは日本人にはなかなか持つことができないものだと感じた。
<br />「ワイルド・ソウル」未読の人にも、旅行記として十分楽しめる内容であるが、やはりまず「ワイルド・ソウル」を読むことをお薦めしたい。
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三賞受賞の大傑作『ワイルド・ソウル』の下地となった取材旅行中に、著者が見て感じたことを綴った一冊である。『ワイルド・ソウル』の副読本としても、南米の紀行エッセイとしても楽しめるのだが、ただ、それよりも著者の世界に対するモノの見方、感じ方が一貫して綴られているのがこの本の一番の特徴であり、読みどころだと思う。
<br />日本で生活する者が、あまり馴染みのないラテンの異文化に直接触れて感じること。舞台は南米だが、日本という土の上で生きていくことの意味を考えさせられるようにも思った。
<br />まあ、実際はそんなに深刻に堅苦しいこともなく、あくまでもラテン乗りのエッセイなのだが。カラッとしているが、ラティーノたちの愛情の深さが心地よい良書だと思った。