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| 金印偽造事件—「漢委奴國王」のまぼろし
(
三浦 佑之
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著者の金印偽造説の根拠は、発見の経過や関係者に不自然な点がある、最初にされた鑑定がいいかげん、中国の出土品と成分比較していない、当時は古印ブームでよく偽造された、などである。
<br />遠い周辺から思いつくまま疑いを投げかけているだけであり、文献をいじり回しているだけの平凡なもの。新説としての価値なしかと。 題名に惹かれて買ってしまったが、これは公刊できる水準に達していないのではないか。
<br />特に偽造を証明しようとしている部分は憶測に憶測を重ねるだけでこれでは専門の学者に対する異議申し立てにすらなっていない。 著者自ら、あとがきで自信がないと述べているように、拍子抜けするほど論証が弱い。
<br /> それ以前に問題なのは、タイトルに並ぶ「偽造事件」とか「まぼろし」とかいう単語が、明らかに、いわゆる神の手事件を連想させようとしていることだ。
<br /> 金印が偽造かどうかを問おうという著者ないし出版社が、ありもしない事件を捏造していいわけはない。
<br /> 良心はないのかな。
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