元外資系の投資銀行マン(M&Aアドバイザー)が資本主義を語ったもの。
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<br />類書に森生明氏の『会社の値段』があるが、森氏も元外資系の投資銀行マンであるものの、バックグラウンドが法学であることから、株式会社制度を通して資本主義を説いているが、岩崎氏はバックグラウンドが経済学であることから、金融を通してそれを説いている。
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<br />その根底にあるのは、「マーケットは効率的であることで、資金が効率的に使われる。そのためには、我々個人が金融のものの見方を身につけ、企業価値を向上できない経営者を変えていかなければならない。それが経営者が企業価値を向上させるインセンティブになる。」であると思います。企業価値の向上を支援する投資銀行マンゆえ、説得力があります。一部マスコミのデマに流されず、資本主義の本質を知ることができます。
間違いなく良書!!金融入門書でもあり金融教育書にも思える。
<br />金融に関する「ものの見方」と「考え方」を身につけ、それによって
<br />少しでも良い方向に社会が変わってくれれば・・そんな著者の思いが
<br />溢れている。
<br />アメリカ的とか日本式とかを論ずることを避け、何が企業価値を高めるのか、
<br />企業の価値を極大化する経営とは何か・・を数式や専門用語を殆ど使わず
<br />これほど解りやすく説いている入門書にお目にかかったことはない。
<br />「M&Aには否定的、しかしIPOに喜ぶメンタリティー」「和を以って貴しとする
<br />の限界」「市場主義を拝金主義と誤認する風土」「猫も杓子も持株会社」・・・
<br />新しい視点を与えてくれた一冊だった。
<br />企業価値とは何か、またそれを極大化することを考える場合、そこには必ず
<br />倫理と国家観が存在が必要・・まさに同感!!
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興銀時代にMBAを取得し、外資系投資銀行でも活躍した著者が、理論株価の算定方法から、M&Aを含めた企業価値向上の方法まで平易に解説する。
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<br />アダムスミスのいう、「市場の神の手」に導かれて市場は効率的なものに調整されるという「市場原理主義」が、現代の(特にアメリカの)企業の根本原理になっています。
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<br />外国人の持ち株比率の上昇、いわゆるハゲタカファンドによる買収、M&Aの急増等々、世界中を駆けめぐるこの金融資本主義のルールは日本経済を大きく変えようとしています。従来の「ムラ社会」的なビジネスのやり方が通用しなくなっています。
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<br />そうした中、企業の価値を正しく算定し、それを高めていくためにはどうすればよいか、といった知識は、ビジネスというゲームのルールとなっている以上、日本で働くビジネスマンにとっても必須の知識です。
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<br />本書は、初心者にも分かりやすく「株価とは?」「企業の価値とは?」といった金融の基本知識を解説しています。難しい数式などは使わずに金融的な考え方が理解できるようになっています。
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<br />なお、著者の投資銀行での経験(特に「0泊2日のパリ出張」の話など)も興味深いです。市場主義を極めるとビジネスマンも無駄なく最大限働くということになるのでしょうか。
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<br />全てのビジネスマンにとって必ず役に立つ本。M&Aなど旬の話題を理解するための読み物としてもおすすめです。