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韓国の「昭和」を歩く ( 鄭 銀淑 )

  <br /> 今も韓国に残る大日本帝国時代の建造物と、それにまつわる韓国人を訪ねて綴った歴史紀行。 <br />  <br /> サッカーや野球の日韓戦が必ず遺恨めいた試合になるのはなぜだろう。それについて我々日本人は何となく頬かぶりしてはいないだろうか。 <br />  <br /> 本書は、その根源的な理由を韓国人の感情をもとに冷静かつストレートに表現している。日帝の残滓、恨(ハン)といった日本では聞かない言葉の理解がポイントとなろう。鬱屈した重苦しい過去を韓国サイドから知ることができる。 <br /> <br /> 韓国人の心情が主役なので、日本人としては異論や反論もあるだろう。私はそれらについて述べるすべを知らないが、歴史を無視しては前に進めず、もちろん歴史を抹消することもできない。本書から韓国人の心情を知ることは有意義だと思う。そして大戦後六十年を経た今日までも戦前の歴史はきちんと連続していることを痛感するのである。

韓国の各地に残る建築物を鍵に、韓国の近代を振り返る。 <br />19世紀末頃以降、日本人が韓国という土地何をしてきたのか。韓国にどのように関わってきたのか。 <br />韓国にくすぶる植民地時代の記憶、雪深い今はさびれた土地の景観など、著者は人々の生活感をにじませながら語る。 <br />過度に防衛的でもなければ、攻撃的でもない。迎合もしない。著者の感覚はバランスが取れている。 <br />だからこそ、日本人である私にはわずかな苦々しさが残るが、好感も持った。 <br />景色の見方が変わる気がした。

日本留学経験を持つ韓国人である著者が、韓国国内を歩いて各地に残る植民地時代の日本の残滓を追い、その現状をつづりつつ、当時に思いをはせる。これは、歴史紀行エッセイとでも言えばいいのだろうか。<p>どんな日本家屋や日本建築が、どこに、どんな形で、どんな風に残っているのか。著者は、日本人旅行者の多くが訪れるソウルや仁川も最後に訪れているが、読んでいて圧倒的に面白いのは、全羅道の江景・群山・栄山浦・木浦を描いた第1章や、慶尚道の釜山・鎮海・大邱を描いた第2章である。訪れる先々で語られる著者の感慨についてどう感じるかは人それぞれだろうが、韓国人としてはごく常識的なことを言っていると思われる。<p>この本を読んで、書かれているその場に立って、私は何を感じるのか。ソウルや仁川以外の場所で、それを試してみたいと感じさせる一冊である。

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韓国の「昭和」を歩く
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