肝だけ列挙。以下のことが納得できる形で書かれていて、よいマニュアル本と言えよう。
<br />
<br />トップはシステムを作る。それはややこしくてはいけない。誰でも守れるものにすること。口酸っぱく安全を訴えろ。金を惜しむな。監視は必要だ。行為者の監視者を分けること。ベテランは慣れに注意。新人は知恵の塊であるマニュアルで確認を繰り返すこと。安全に妥協は許されない。周りや上司に直言する根性を入れろ。事故は最初が肝心。兆候を見逃すな。優秀な社員ほど失敗を隠蔽可能なので、監視を怠るな。
<br />
<br />と、注意点は一杯あるなあ。繰り返し読まなければならない本だ。安全は難しいのだ。
飛行機のような乗り物は、会社としての効率性や経済性を重視して、安全性が重視されないのならば、誰もその会社の飛行機にお客として乗りたいとは思わないだろう。安いけれども事故に会う危険性が、安さに応じて高くなるならば、その安さは、意味の無い安さである。N航空の123便ジャンボ事故は、風化させてはならないものだが、教訓として1機ごとに責任整備士を指定する機付整備士制度が、コスト削減のために整備業務を海外の業者に委託したため平成15年の時点で実質的に消滅した、という著者の指摘は重い。コスト削減のしわ寄せが、航空機会社に限らず、安全管理部門にくる、という実態が厳しく問われる。
思い出したくない嫌なニュースのオンパレード。
<br />ああ、そんな事件・事故、あったなぁ。。。
<br />
<br />論旨は明快。要するに、「まずい」ことが起こるのは、
<br />『裸の王様』『不思議の新衣装』において、
<br />だれも「王様は裸だ」と言わない(えない)
<br />のと同じ構造である、ということ。
<br />
<br />「わかっちゃいるけど、、、」
<br />というのがほとんどの事故・事件の本質。
<br />著者自身が言っているように、
<br />理論的(?)には、それだけ。
<br />
<br />肝心の、なぜ「言わない」「言えない」のか、
<br />という問題をどのように掘り下げ、いかに解決するのか、
<br />という点に関しては何も語っていない。
<br />