文章の軽妙さは最初の1ページを読めば充分理解可能。でもストーリーそのものは?文章が上手いのできちんと最後まで読んだが、これが読後感がここまで一切皆無な本ってのもそうそうない。そりゃ爽快ですよ、なぁんにも残ってないんだから。虚無感さえなかった。
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<br />物語は伝えたい「もの」がなければ意味がない。私はそれを読み解きたいが故に本を読む。その意味で、この本は最下級レベルでした。くだらない、と言って捨てる気にならなかっただけまだマシ。
<br />どこで読んだか忘れたが、キャラ小説という評価があるわりに、あんまりどのキャラにも肩入れできなかったし…だいたい「キャラ」って言ってる時点でアウト、だって読んでる間くらいは登場人物の存在感が必要なのにそれが一切なかったんだから。映画版の俳優陣の役作りこそあっぱれ。しかしいくらウケたからって続編書いたの…日本の出版事情ってよくわからない。
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<br />最近他の氏の作品を読んで、ようやく私はこの本が嫌いなのだと気が付きました(苦笑)
ギャング4人が銀行強盗するというわかりやすいストーリー。
<br />既に映画化されているが、映画によくありそうなストーリー。
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<br />しかし、伊坂氏独特の世界観が銀行強盗を面白くしている。
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<br />というのは、ギャング4人の個性である。
<br />特に4人が会話しているところが非常にユニークでシュール。
<br />しかも会話に豆知識を織り交ぜているため、ちょっとした勉強になる。
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<br />ただ、裏の裏の裏を掻くストーリーが先に読めてしまうため、ちょっと残念だ。
伊坂幸太郎は新世代の作家といった位置づけで、舞城王太郎らと並んで、これから古い作家たちを駆逐するような異色の活躍が出来る作家だと思っている。
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<br />にしては、この作品はキャラを立てること、物語を二転三転させることという<この手の作品のお約束>が見えすぎていて「なんか、思ったより意外性がないなあ」と思ってしまった。
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<br />たとえばエルモア・レナードでもカール・ハイアセンでも、こういったタイプの本を書く作家は、これまでにもたくさんいた。
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<br />異色の作品を期待して読むと、ちょっと拍子抜けだ。
<br />きっと肩肘張らずに気楽に書いたんだろう。
<br />そういう意味では、肩肘張らずに気楽に読めばいいと思う。
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<br />伊坂氏にしては・・・というのを抜きにすれば、それなりに面白く読める本であるのは間違いないから。