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| 野望〈下〉―信濃戦雲録 第1部
(
井沢 元彦
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井沢氏の小説は、一方のライフワークである一連のノンフィクション群に比べると、登場人物の会話や、地の文がぎこちない印象を常々受けていたのですが、この信濃戦雲録は、なんていうか、高橋克彦作品のようで、流れがとても軽快で、上下巻あわせ結構厚みがあるのですが、一気に読めます。
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<br /> 主役の山本勘助は、それこそ、高橋克彦のみちのく三部作の主人公のように機略と才知に長けた天才的軍師であり、彼によって物事を見る眼を鍛えられていく、信玄とその周囲の臣下たちの成長ぶりも頼もしく、そして、老獪な北条氏康、さらには大トリに待ち構える、勘助の軍略に拮抗する才覚をもつ武将、後の宿敵上杉謙信との駆け引き大芝居。
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<br /> こっちを大河の原作にした方が面白かったんじゃないかなぁ〜。武田家滅亡に至る第二部の文庫化が楽しみです。
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