深層筋を意識できるようになることで、身体全体の緊張の
<br />バランスを整え、そして、「疲れない体」をつくるにはどう
<br />するのか、どう考えるのか、どうトレーニングするのかが、
<br />分りやすく紹介されています。
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<br /> 自分の中心軸や体の中心、深層筋や腹式呼吸などをイメージを
<br />有効活用することで意識できるようにする方法が、とても上手く
<br />表現されています。(腹式呼吸と言っても、物理的にお腹に空気が
<br />入ってくる訳ではありません!などと、誤解や混乱を招かない
<br />明確な記述です。これには、大変好感が持てました。)
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<br /> 非常に読みやすく、また一人でトレーニング出来るように
<br />内容がシンプルであることに加えて、日本の伝統芸能である能や
<br />東洋思想の陰陽についての記載もあり、楽しく読み進めることが
<br />出来る一冊です。
お能にはまったく興味がないのですが、
<br />著者が能楽師というだけではなく
<br />ロルフィングというアメリカのボディワークも学んで
<br />その共通点から体のしくみを説いているのが興味深い。
<br />それで読んでみました。
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<br />世阿弥の教えである「体(たい)と用(ゆう)」を
<br />解剖学的な筋肉や骨格で説明します。
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<br />世阿弥もやはり体を陰と陽に分析し、伝えてきました。
<br />中国思想の陰陽を、能という体を使った文化芸術に落とし込み
<br />日本人の感覚に沿ったものに変革しているのもおもしろい。
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<br />中国、日本、アメリカの思想と経験が渾然一体となったボディワークですね。
<br />理屈はやや難しいですが。
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<br />本書に書かれているエクササイズも小さな動きで
<br />からだの奥の大腰筋(背骨の下のほう、肋骨が終わる辺りから
<br />股関節の下まで伸びる筋肉)を鍛えます。
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<br />さらに首から肩にかけてのコリをほぐすのに、肩甲骨の周りの筋肉、
<br />大胸筋と小胸筋を緩めます。
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<br />大腰筋は自分では意識できませんが、この肩関節の周りは動かすと
<br />気持ちいい。やみつきになりそう。
<br />肩甲骨の周りの僧帽筋は痛い。
<br />コリ過ぎですね、きっと。
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<br />印象に残ったのは、「なにかができるようになることが目標ではなく
<br />動きそれ自体、あるいは生き方それ自体が目的です」という言葉。
<br />ボディワークってどれでもそうですが、うまくやろうとすると
<br />たいていダメですね。自分なりでいいんだ、と思うと楽です。
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最近流行の深部筋肉の話、日本人の体の使い方の話、胆田の話、姿勢の話などを能とからめながら、とてもわかりやすく書いてあると思います。
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<br />カイロや運動療法専門家の本はすこしわかりにくかったり、自説を正当化するために誇張が入ったりして眉唾じゃないかと思わせる記載があったりという難点がありますが、この本は私わかりやすい上に誇張したオーバーな表現もなく、医学的にもかなり正確だと思います。
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<br />今流行の何日で何キロやせるとか、一度でウエストが何センチ減るといった即効性のある本とは違いますが、内容の深いとてもいい本だとおもいます。能に関しても興味がわいてきました。