この用語辞典には学校で習うものからなかなかお目にかかれない特殊な指示まで全て載っています。しかも四ヶ国語なので、ほとんどの国の音楽家に対応できます。アマチュアの方からプロまで広く使えるので、オススメしたい一冊です。
音楽を始めたばかりの人にも、とてもわかりやすい内容だと思います。
<br />楽譜表記記号、指示をA〜Zアルファベット順に整攫えし調べやすく、また単純な解説です。複数の言葉で同じ意味を持つものは、省略され記載されていないことが多いですが、本書は、かゆい所に手が届く感じ。
<br />あまり深く濃く書き連ねていないことで、自分自身の音楽を模索していけるようにも思えます。
<br />巻末の、著名作家の名前の綴りや出身を紹介した付録は、まだまだ浅学な私には結構お気に入り(笑)
クラシック音楽の指示で最も困るのが、「<(クレシェンド)」や「>(デクレシェンド)」、あるいは「f(フォルテ)」「p(ピアノ)」のような、見て想像のつく記号でなく、様々な言語で書かれた指示(速度・発想・奏法)である。読み方は勿論、意味はおろか、とりあえず何語かもわからないが何とかしなければならない…malinconico:憂鬱な、とか、joyeux:愉快に、とか…<br> というときに、通常ぶ厚い楽語辞典を持ち出すか、「楽典」の勉強をすることになるわけであるが、すぐ役に立たない上、単語でしか載っていないので2~3語の複合語とか組合せとなると、語学的に考えて意味を導かないといけない。<br> それは勿論正しいやり方なのだが、実は使われる単語は非常に少ない。しかも言語はごく限られている。元々はイタリア語が始まりで、その後「自国語で書こう」という「国粋主義」的な運動のためそれぞれが「独・仏・伊・英」で書き始めたという経緯はあるにせよ、クラシックに属するルネサンスから20世紀初頭に至るまで多くの音楽に使われた指示をカバーしてもなお、非常にコンパクトにまとまることがわかってきたのである。<br> 本書はこの偉大な?知見に基づく画期的な辞典で、一見して薄っぺらく、しかも「独仏伊英4カ国語を網羅する」という極めて欲張りな特徴を主張しているため、非常にうさんくさく感じられるかも知れない。<br> が、いわゆるクラシック音楽を演奏する学生さんには超お勧め、必携と音楽の先生も太鼓判を押す1冊である。'87初版、現在は統合により出版社名こそ変わっているが改訂新版として今もなお発行されている実用書である。どうかだまされたと思って手にとって欲しい。そして合奏練習に(できれば譜面を渡されたら、当日まで放置せずその前の予習にネ)ぜひ活用して欲しい。役に立つこと、うけ合いである。<br> 巻末に、著名作曲家の読み方と綴りの付録付き。