<br /> タイトルに「地図帳」とありますが、どちらかというと「地図」というよりは「地理」に関する雑多なオモシロ情報が満載の、軽い読み物です。ひとつひとつの話題に割かれた字数も少なく、ヒマつぶしにはうってつけかもしれません。
<br /> ごった煮ともいえる掲載情報の多彩ぶりは以下の具合です。
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<br />地名にまつわる情報:南米パタゴニア地方は原住民の足の大きさを見たマゼランがpata(足)+gon(大きい)と名づけた、など。
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<br />地域産業にまつわる情報:チリがワインの産地になったのは19世紀半ばにヨーロッパのワイン産地が害虫の被害を受けたのを契機に、地中海の気候に似ていて被害の及んでいないチリにワイン醸造の技術者が渡ったため、など。
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<br />地域の自然にまつわる情報:世界で最も寒暖の差が激しいのは、東シベリア・サハ共和国のベルホヤンスク。月平均気温の年間差が60度を上回る、など。
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<br /> この他にも、地域の政治や文化にまつわる情報など、さまざまな話題が200あまり掲載されています。
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<br /> 巻末の参考文献一覧によれば本書は、これまで出版された地理や歴史の雑学書の多くから情報を拾い出して二次利用しているようです。そうした参考書物の情報におそらく正確さを欠くところがあって、それをそのまま確認することなく使っているからでしょうか、ところどころ首をかしげるような情報も混じっています。
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<br /> 例えばスペイン人は自国のことを「エスタド・エスパニョール」と呼ぶ(132頁)とありますが、この表現は現在では左翼系の人やバスクやカタルニアといった地域の独立派が好んで使う用語であって、必ずしも多くのスペイン人が用いるとはいえません。一般のスペイン人は「エスパーニャ」という言葉を日常的に使っていることを明記すべきだと思います。
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<br /> このように、眉に唾をつけながら読まなければならないかもしれないおそれがあるため、本書を責任をもって強くはお勧めできないのです。
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本書176ページ「東海道新幹線の終点はなぜ神戸駅なのか?」
<br />「東海道本線」の終点は確かに神戸駅だが、
<br />「東海道新幹線」の終点は、「神戸駅」ではない。「新大阪駅」だ。
<br />だいいち新幹線に「神戸駅」は存在しない。神戸にあるのは「新神戸駅」である。
<br />私が買ったのは初版。こんなシロウトでもわかるデタラメが堂々と掲載されていた。
<br />読者諸賢は、くれぐれも気をつけられたし!
<br />ウソは困る。
<br />ほんとうに返金してほしい。
世界で一番おもしろい地図帳の続編みたいな本です。世界で一番おもしろい地図帳と併せて読みました。おもしろいと気になるの基本的な差は感じられませんでした。世界地理と日本地理の雑学が書かれていました。この本も前作同様、地図帳とはいっても、イラスト程度の地図しか載っていませんので、地図帳というよりは、読み物として楽しむ本です。それなりに楽しめますが、前作と続けて読むと、さすがに飽きが来るように思いました。