私自身が鬱病なので、
<br />こういった体験者の実話本は、大変貴重で参考になります。
<br />著者の痛みや苦しみが自分とオーバーラップするからです。
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<br />数多くある「鬱」体験者の本を読んで来ましたが、
<br />この本だけは飛び抜けている…と思いました。
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<br />鬱病になると集中力が欠如し、本を読むのが辛くなります。
<br />何とか読むことが出来たとしても、
<br />一冊の本を何日間かかけてでなければ、読み終える事が出来ません。
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<br />ところが、
<br />この本に至っては、余りのテンポの良さに、
<br />一気に読み終えてしまったのです。
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<br />人生の大半を
<br />「鬱」「躁」「アルコール依存」と共に生きた著者。
<br />辛くて苦しくて堪らなかったはずです。
<br />…にも関わらず、
<br />この本は最初から最後まで、明るく愉快なのです。
<br />決して、ふざけている訳ではないのに、
<br />時折、思わず苦笑するさせられ、
<br />流石、文筆業の書いた本だ…と感心させられました。
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<br />「鬱」や「躁」を患っている方だけでなく、
<br />多くの人に読んで欲しい、素晴らし一冊だと思います。
<br />この本に出逢えたことを嬉しく思います。
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「明るい悩み相談室」を別にして、たくさんあるらもさんのエッセイの中で一番好きです。何故だろう?親父が躁うつ病だった・・から始まる、らもさんの病気との付き合いの記録なのですが、人に対する優しさが滲み出てるからだろうか。「雨漏り」するかのように、それは控えめな、隠してもわかる人にはわかるといった類の・・。表紙のちょっと精悍な写真もいいですが、中のカラー写真でにっこり笑うらもさんの顔は、仏様に見えます。
レコードを探している時、表紙だけを気に入り買う、通称「ジャケ買い」がある。その中身といえばピンとこない代物が多数を占めるが、逆も稀にある。この本はそれである。キノコ頭の中島らも氏に幻覚を誘発された僕は、読む-表紙-読む-表紙、気がつけば最後のページだった。著者を通してみる躁鬱病は相変わらず深刻だが暗くなく、明るい。本棚にすっぽりと収まってくれる、そんな一冊です。
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