ネットで話題になっているので入手して読んでみたのですが、話題になるだけのことはあります。
<br /> 司馬遼太郎さんが、未来を担う子供たちに伝えたかったメッセージが簡潔な文章に込められていて大人が読んでも
<br />良い内容です。
<br /> 歴史小説家として、歴史に学んだ人間の生き方の基本として「自然」こそ普遍の価値であり、「人間は、自分で
<br />生きているのではなく、大きな存在によって生かされている。」こと。 いたわりの心の大切さ、一つ一つ改めて
<br />考えさせられますし、掲載されている写真も良いです。
司馬遼太郎氏が1989年に小学国語の教科書向けに書いた2作品を収録。氏が子どもために書いたものはこの2つのみだという。本書は2001年に刊行されたが、こんな時代に再び注目を浴び、広く読まれるようになったことには、何か見えざる力が働いているようにも思えた。
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<br /> ・人間の万能感への警鐘―自然への尊敬の念を抱くことが、ひいては人間同士の尊敬につながること
<br /> ・自分に厳しく相手にやさしい自己、すなおでかしこい自己を確立すること
<br /> ・いたわり、やさしさは訓練して身につくものであること
<br /> ・そうしてはじめて、たのもしさを獲得できること
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<br />そのようなことが、清々しく、力強い確信とまっすぐな願いに満ちた文章で書かれている。さらに、司馬氏自身の「生」を慈しむ姿勢がにじみ出ており、心打たれた。
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<br />司馬さん、司馬さんが思い描いた21世紀に少しでも近づけられるよう、努力します。
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<br />余談だが、日野原医師や大江健三郎氏といった人たちも、子どもに向けたメッセージを執筆している。自分の同年代では、誰が後々そうしたことの担い手になるのだろう・・・とふと考えを巡らせた。
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一読して、簡潔ながらも崇高な文章に「しびれ」ました! 落雷を受けたかのような衝撃でした。とても小学生向けの教科書に書かれたとは思えないほど(?)の中身の濃い一冊です。
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<br />社会をなす「人」が「人」であるために果たさなければならないこと、常に心しなければならないことを、これほど厳しく語りながら、それでも少しも説教くさいところがないのはさすがに古今の人々の生き様を調べ、検証し、作品として世に送り出してきた歴史家・司馬遼太郎の筆ならでは。アメリカ型の行き過ぎた成果主義に汲々とし、勝ち組・負け組みに大きく二分されてしまった今こそ、こういうことを言ってくれる人が必要です。大人こそが読むべき本だと思いました。
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<br />後半の、緒方洪庵の話にも非常にひかれました。とても短い話なのに、人としてあるべき姿をそこに見たように思いました。特に子供には、ひとつの伝記を読むことは100のことを語って聞かせるより、得るものが大きいのではないかと思わせるエピソードになっています。
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<br />人としての原点に立ち返りたいときにはこの本をぜひ、お勧めします!