新語を集めて辞書を作るという企画で応募されたものを集めたものが本書ですが、この値段にしてはテーマごとに良くまとめられていて勉強?になります。
<br /> 我が家ではDSの漢検、そして本物の漢検へのチャレンジと昨年来漢字ブームが続いており、本書も家族で一緒に眺めていますが、「へえ、これって新語だったんだ。」と良く使っている言葉が多々見受けられたり、まったくちんぷんかんぷんの言葉があったりで、結構盛り上がりました。
この手の冗談系新語辞典というのは、上滑りでつまらないものが圧倒的に多い。はあ、こういう言葉もあるのか、という程度ですぐに本棚の奥に追いやられてしまう。しかし、この本は違うのだ。それぞれの語彙の解説は非常に的確だ。「微妙」の(2)にある「どちらかというと悪いということを遠まわしにいう言葉」だけみても、その言語感覚はしっかりしているのがわかる。また、語彙の選択はかなり厳重で、十一万以上の応募のなかから千三百あまりを選んでいる。複数の語義のある言葉も多いが、ざっと五十倍の狭き門だ。新語というより、本来の意義と違う新語義が加わった項目(「微妙」「化石」「はまる」など)には本来の語義もちゃんと併記してある。事実関係などを補った「補注」の項も必要十分で簡潔にまとめられている。何でこんなに編集がしっかりしているんだろう、と思って背表紙を見てやっと気づいた。版元が大修館書店である。大修館といえばあの諸橋さんの「大漢和辞典」を出版し、月刊誌「言語」を擁する辞書の老舗。納得。辞書作りに慣れているわけである。さればこそ、とにかく面白い。