企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
(
ジェイ・B・バーニー
岡田 正大
)
他の方が絶賛されているとおり、名著であると感じました。
<br />何よりも基本的な事項が平易な言葉で体系化されている、
<br />と言う点は、この手の書籍の中に置いては
<br />すばらしいと感じました。
<br />
<br />ただし、文章がやや"平坦"である点をあえて指摘しておきたいと思います。
<br />例えば、「5つの点がある」と総論として挙げておいて、
<br />その後に一つずつ各論の説明があるのですが、
<br />各論のそれぞれの記述が近かったり、総論と各論の記述の書きっぷりが
<br />単調であったりして、読んでいてときどき混乱しました。
<br />
<br />こうした点を意識した方が良さそう、と言うことに気がつくと
<br />読むのに混乱しないかと思います。
MBA初学者から使える必読・必携のテキストである。上・中・下巻で全15章をカバーしている。持続的競争の優位と題する原書は1冊になっているので少し携帯性を欠いている。この点では邦訳は3巻に分けられているためハンディで、読者が通勤・通学時に、何遍も読み返すことが可能であり重宝する。
<br /> さらに深く学ばれたい方には、各章の脚注を参考に学習範囲を拡大されれば、RBVを取り巻く企業戦略論にさらに興味を持たれることであろう。
<br /> ところで、1冊で企業戦略論を網羅的かつポイントが抜けていないテキストをお望みなら「ブランド論の権威」であるディビット・A・アーカー『戦略立案ハンドブック』がお薦めである。
<br /> 私なりの使い分けでは、バーニーはアカデミック用に、アーカーは経営コンサルタント時のアイデア提供用に使用している。どちらもアイデアが豊富であり、とっさのプレゼンテーションに使い易いので、誠に重宝している。
さすがMBAのテキストというだけあって、
<br />理論がしっかりしているうえ
<br />網羅的かつ丁寧に解説されており、
<br />これぞ戦略論のテキストという印象を持ちました。
<br />
<br />特に
<br />1.RBVを推奨しながらも、きちんと競争戦略論についても議論されている
<br />2.いずれの理論も限界にまで言及している
<br />点が個人的には好感を持ちました。
<br />
<br />手元に置いておきたい一冊です。
企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
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 | 原書は、アメリカのビジネススクールで近年評判が高い経営戦略論のテキストブック(教科書)である。経営戦略論は経営学の一分野であるが、多くの分野のなかでいま最も研究が活発だ。その理由は「経営資源に基づく戦略論」(Resource Based View、以下RBV)が影響力を高めているからだ。そのRBVの旗を振っている中心的人物が著者のバーニーである。 <p> 本書の論述は、先行研究のレビューに基礎づけられた、アカデミックに健全なものである。が、記述は平易かつ説得的で、よく練られている。夥しい数の戦略事例が挿入されていて、それもおもしろい。内容は、「戦略とは何か」「パフォーマンス(成果)とは何か」「脅威および機会の分析」「企業の強みと弱み」の分析で構成されている。 <p> この巻は文字どおり基礎的な議論に充てられており、RBVの特色が一貫して出ているわけではない。例外は「企業の強みと弱み」を論じた第5章だ。企業の強みと弱みは伝統的な議論で頻繁にとりあげられてきたが、この章では明確にRBVの観点から、価値(V)、稀少性(R)、模倣可能性(I)、組織(O)の4要素でそれを分析するVRIOフレームワークが提唱されている。またVRIOを用いた例として、デル(パソコン)とソフトドリンク業界に関する秀逸な分析も出ている。本書の最もおもしろい箇所である。 <p> 本書は3巻本の邦訳の1冊目だが、それでも300ページを超えるボリュームだ。それほど議論は包括的・体系的で、多岐にわたっている。概念的説明だけでなく事例も多く、論述はサービス精神にあふれている。標準的なテキストブックの執筆に著者が驚くべきエネルギーを注いだことが分かる。これは要するにプロが書いたテキストブックである。アメリカのビジネススクールが日本で通常考えられているよりアカデミックな性格が強いことを、読者は本書から感じとるだろう。(榊原清則) |
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