人気ブログ「金融日記」を書籍化するにあたってふさわしくない部分を大幅に削除し、世に出された本書
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<br />ファイナンスの入門編として教科書と呼べるほど価値ある一冊であると思う
<br />というのは、やたらと広範かつ難解なこの手の分野を著者の論理構成力、文章力が見事であるゆえに非常によくまとめられているからである
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<br />また本書において各所に散りばめられているウィットに富んだユーモアあふれる筆致は素晴らしい
<br />この点も小難しい箇所をすっと納得させてくれる要因となっているのだろう
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<br />さらにいえば、著者自身、某外資系金融機関でクオンツをしていることまで明かしているものの、それ以上の詳細な経歴を公開していない点がむしろ良いのではないかと私は思う
<br />とくに金融関係者が著者の場合、テレビ等のメディアに多く出演されている著名な方はその名前だけで信用してしまいがちであるのに対し、本書の著者は素性がよくわからない分リベラルに本書を評価しやすいからである
<br />そして、本書の内容自体は文句のつけようがない
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<br />ただ一つ言わせてもらえば、タイトルが若干あざとい気がしてならない
<br />おそらく著者の提案というより、出版社の意向が大きかったのだろうが、最近は売れた本に追従するネーミングのタイトルをつける傾向が強すぎるように思う
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<br />タイトルに疑問を持つものの、内容は非常にしっかりしたものであるから一読の価値は大いにある
<br />むしろ、わかりやすく説明してくれているが、それでも難解な箇所が見受けられるので、少しでもファイナンスの知識を本格的に身につけたい方は本書から入って熟読されると良いのでは!?
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<br />とくにファイナンシャル・インテリジェンスが低いにも関わらず、無自覚にハイリスク商品に手を出してしまっている方は本書を読まれて頭を冷やすことを強く薦めたい
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著者の元々の専門は計算科学、いまは投資銀行でクオンツ(高度な数学を用いて金融上を計量的に解析する手法)の仕事をされているとのことです。
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<br />内容は初級〜中級向きです。DCFモデル、効率的市場仮説、モダンポートフォリオ理論などを平易な語り口で、辛口のユーモアを交えながら解説しています。著者もご自身で述べているとおり新味はありませんが、理数系特有の明快な語り口のためすらすら読めます。
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<br />DCFモデル、効率的市場仮説、モダンポートフォリオ理論などの知識について自信のない人ほどこの本は役に立つでしょう。ある程度の知識がある方は物足りないかもしれません。
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この本の魅力は語り口・・知性?ユーモア?シニカル?な文章
<br />にあります。ただし、内容はこの本の参考図書などで既に語られ
<br />ているものなので特別目新しいものではありません。
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<br />「投資よりも上司にゴマすって働いたほうがお金は増える」という
<br />のは皮肉として面白いのですが、少し考えると労働と長期投資を
<br />並行していればターボになるんでないの?とマジレスしたくなりました。
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