心と体の関係に興味があり、ダマシオ氏の書籍を初めて
<br />読みました。(短文で、ストレートな表現で書かれているにも
<br />関わらず、理解するのには、少し努力が必要な、どちらか
<br />と言えば専門家向けの書籍である印象を受けました。)
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<br /> 生物の活動の基本が、より「快」の状態を求めることから
<br />始まり、体と脳のマッピング、情動や感情というものの定義
<br />などを脳科学の研究結果をもとに定義、説明されています。
<br />そして、人間が幸福にたどり着くための考察などが、哲学と
<br />脳科学の観点から理解できるように工夫されています。
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<br /> 幸福に関連して、主体的な学習の大切さだけでなく、
<br />感情や心を豊にするためにも、体と感覚の相互作用が正常で
<br />あることの重要性を再確認できるきっかけにもなるように思
<br />います。
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<br /> 心と体に関心を持っている方には、(少し骨太ですが)
<br />お勧めです。
ダマシオの著作「生存する脳」「無意識の脳・自己意識の脳」を既に読んでいましたので、本書が出るのを待望していました。<p>本書では、哲学者スピノザを引き合いに出しながら、ダマシオ自身の情感に対する自然科学に基づく見解が更に詳しく、かつ分かりやすく展開されており、一気に読みきることが出来ました。<p>更に、ゲノムとの関係、進化論的な見地からも解説されており、脳科学以外の領域との統合も少しではありますが、試みられています。<p>人については、歴史的にもとかく理性の重要性に光をあてている著作が多い中で、ダマシオは一貫して情感の重要性を訴えてきました。情感あっての理性という事実は、今後の様々な政治・経済・社会政策を考える上で必須要件となっていけばな、と切実に感じます。<p>本書でも触れられていますが、私も色々と学習するなかで、科学哲学・進化心理学・進化論・脳科学・神経科学・物理学を誰かが早く統合して欲しいという欲求を強く持っています。ダマシオが、デネット、ピンカー、ドーキンス、ハンフリー、ルドゥー、リドレーらの先端科学者達と一緒になって進めて欲しいと思います。