「あなたが外資系投資銀行の投資銀行部に入ったらどんな生活になるか?」それについて、この本はある程度正確なイメージを提供する。現在正しく私自身がその外資系投資銀行投資銀行部で勤務して毎日本で書かれているような生活をしているから断言出来る。余り断言すると何故か自分の恥部を見られたようで気恥ずかしいが。
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<br />主人公が感じる疑問、やりがい、苦悩、喜び。この商売が結局は客商売であることへの安心とある種の落胆。相当程度うまく書けている。それも当然、著者も同じ投資銀行部出身なのだから。恐らく著者は投資銀行部での経験を回想し、少々の誇張と一般化を加え、一気に書き下ろしたのだろう。それで本になるのだから昨今のある種の投資銀行ブームも凄いものだ。
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<br />ただ、注意はこの本は「投資銀行」が「投資銀行部」からの視点で書かれていることである。「投資銀行」と「投資銀行部」がそもそも異なるものであると言った基本的なことや「株式部」「債券部」と言った部門からの視点を学びたい場合別書をあたるべきだろう。
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<br />「投資銀行部に新卒で入ったらどうなるか」を知りたいのであれば、読んで損は無い。
最近新聞や雑誌でM&Aという言葉をよく目にする。本書はM&Aが実際にはどのように行われているのか知るのに最適な入門書だ。「ミヤビ」という新入社員を主人公にした小説タッチで書かれているので、ストーリーの展開に乗っかりながらM&Aの舞台裏を眺めることができる。
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<br /> 買収提案の資料作成や投資銀行内部での部門同士の利益対立など、著者の経験に裏付けられたと思われるエピソードも随所に盛り込んであり、読みやすいながら説得力がある。
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<br /> この一冊でM&Aを完全に理解するのは無理だが、入門書としてはとても優れた本である。
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特徴は以下の4つです。
<br />■投資銀行業務の流れがわかる
<br />■わかりやすい
<br />(難しいところは、ミヤビが梶田に質問する形を取っている)
<br />■事前の金融の知識はあまり必要ない
<br />(就活生の私でもスラッと読めた)
<br />■物語としておもしろい
<br />(ミヤビのキャラがw)