みんなが思い描く世界史とは、欧米の白人中心史観な訳で、これもそもそもモンゴル帝国がユーラシアの東西を席捲したからこそ、白人が如何にして影響されたか物語っているのです。
<br />モンゴル帝国以後、世界の歴史の移り変わりは目まぐるしいものがあります。
<br />和冦が大航海時代のヨーロッパのそれに類似していたとは驚き桃の木山椒の木。
昔々、岡田先生の講義を受けたことがありますが、そのスピードについていけない!と悲鳴をあげそうになりました。
<br />この本もそうです。普通の人間には、ついていけそうにもないスピードで世界史が語られます。
<br />「あれ?この話はどうしてこうなるんだ?」ということはしょちゅうです。
<br />岡田先生はわからんものにはわからんでも良いと思っていらっしゃるのか、とにかくついて行くのに必死になります。
<br />固有名詞などは、「こんな国や人はしらないぞ!」と叫びたくなります。だからこそ勉強になるのですが。
<br />いずれにしても、岡田史学という言葉があるくらいです。普通の歴史学者とは役者が違います。
<br />岡田先生については、近頃中国との話ばかりが取り上げられるようですが、もっと広い視野にたった業績を上げている方だと思います。
現在、ヨーロッパのアジアとの対立というフィクションつくった西洋史(ヘロドトス)、中華思想にとらわれる東洋史(司馬遷)、そして世界史から孤立した日本史、と三者にわれわれの「世界史」は分裂している。シルクロードなどの交易エピソードに頼らずに、それらをつなぐ全体的ヴィジョンを獲るには著者の言うようにモンゴル遊牧民に注目するしかない(実際13世紀に世界初の兌換紙幣=資本主義を作ったのも彼らだ)。東西の「封建制」語義問題などもこうした問題意識によってシンメトリックに定位されるのだろう。
<br />歴史書にはトンデモ本のたぐいが横行しているので(本書以降の同著者もこの轍を踏んでいるが)、誤解を受けるかもしれないが、こんなに面白く建設的な歴史書はない。