早大大学院で哲学を勉強されていた方が、
<br />わかりやすく適切な解説書として本書を薦めていたので、手に取りました。
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<br /> 本書では、単にニーチェの思想だけを解体し、考察するのでなく、
<br />その背後にあった時代の情勢や、ニーチェ以前・以後の哲学者たちについても分かりやすく説明されています。
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<br /> それによって、ニーチェがなぜ、徹底的にキリスト教を批判するのかということの時代背景や、ニーチェの思想の源泉がどこにあるのかということを理解することができました。
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<br /> また、核であるニーチェ思想の解説も見事なものでした。
<br />「ツァラトゥストラ」を読んだ私が、もっとも知りたかった“永遠回帰”については、鳥肌が立ってしまうほどでした。
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<br /> これで、「ツァラトゥストラ」のアウトラインは掴めたかなと思いました。
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<br /> ただ、それでスッキリさせてくれるほどニーチェという人物は甘くなくて、本書を読んで新たに湧き出てきた疑問というものもあり、
<br />それによって悩ましい気分にさせられました。
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<br /> しかし、思想をある程度正確に理解した上での疑問というものは、
<br />不正確でピントの合わない状態で悩むよりも有意義でしょう。
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<br /> 本書を読むことで、ますますニーチェが分からなくなるという事態も起こり得ますが、ニーチェをより深く知ろうと思うのなら、本書のような入門書は外せないのではないでしょうか。
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<br /> ニーチェの著作を読んで、“なんとなくわかった”という状態になったら、本書をぜひ手に取ってみてください!
後半のルサンチマン云々の箇所は、読んでいて魂を揺さぶられた。<br>自分が求めていた言葉はこれだと。思わず線を引きまくってしまった。<br>読み返すたびに滾々と生きる力が湧いて来る文章は珍しいと思う。<p>原典でもないし所詮は入門書だろ、という批判もあるかもしれないが、<br>哲学関連の本を読んで感動したのは、私にとってこれが初めてだった。
著者がニーチェの言わんとしてることを読者に伝えようとする熱意がひしひしと感じられました。そしてちゃんと伝わってきます。適材適所でニーチェの言葉を引用していて、そこら辺(どこら辺?)のかったるい入門書とも一味違います。<br> ニーチェ哲学の根っこは<力への意志>だったんですね。この概念は現代人にはすごく受け入れやすい。そしてこれを飲み込めれば、巷で一番目に付く<超人>や<永遠回帰>というニーチェのプロジェクトがすんなり受け入れられる。そしてそのプロジェクトのために先ずニーチェがやったのが<ルサンチマン批判>だったんですねぇ。<br> やぁ、わかりやすかった。