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教養としての大学受験国語 ( 石原 千秋 )

 面白いですよ、それなりに。他の方も言っているようですが、受験勉強のメインとしては使えません(使う人もいないでしょうが)。そして受験現代文は年々その素材が更新されているので、この本の最新といってももはや古いものです。例示すれば、身体論・国民国家論、ここらは昨年ぐらいから廃れております。 <br /> でもね、評論なんて普通の人が金出して読むものじゃないですよ。そういう点で、評論アンソロジー的な読み物として面白かったです。星一つ欠けたのは、自分が満点取れなかったから。(笑)

本書は、大学受験国語の評論文を渉猟し、 <br />そこから出題者たる大学教授の間での流行を読み取り、 <br />また、受験生に現代思想の基礎知識を伝授しようとするものです。 <br />はっきり言って非常に有意義な書物であり、 <br />全国の大学受験生に読んでいただきたいです。 <br /> <br />ただし、本書の用法、使用時期には大いに注意が必要です。 <br />まず、本書を軸にした受験勉強は危険だと思います。 <br />なぜなら、本書はあくまでも評論文に現れる、 <br />現代思想の常識、あるいはトレンドをさらっと教えてくれるものであって、 <br />受験当日に目にする問題の解法を伝授してくれるものではないからです。 <br />合格に必要なのは、例えば段落相互の関係を捉える普遍的な読解力であって、 <br />本書の内容は、あくまで解答を導くほんの一助となるに過ぎません。 <br /> <br />ですから、本書は夏休み、 <br />あるいはベストなのは、合格後〜大学入学までの間に、 <br />受験勉強の成果を学問に結びつけるための素材として活用すべきだと思います。 <br /> <br />蛇足ですが、本書には自分が乗り越えてきた問題が、 <br />偶然ながら2題ほど収められており、非常に感慨深かったです。 <br /> <br /> <br />

とかく勘に頼りがちな現代文ですが、論理立てて解答を見つけ出していく手順を,「二項対立」などを用いて説明しており、各章が現代思想のキーワードなどによって分けられているので、読後にはそういった方面の「教養」も身につけられるでしょう。章末には推薦図書も数冊ずつ挙げられていて、その気さえあれば手を広げることもできます。「まえがき」にあるように受験とは直接関係のない人が読んでも楽しめる内容になっています。しかし、今の高校生はこんな思考の高みにまで登ることを求められているのですね。

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