・ドラッカーは著書で、会社の寿命は30年で人が働く期間より短くなっていることを述べている。野中教授ほかが日本軍の失敗を分析した『失敗の本質』に描かれたような一部エリート軍人の暴走を許すような「キツネの権力」の蔓延は、組織の崩壊が間近なことを感じさせる。さらに本書が提起した「フリーライダー問題」も新たな組織崩壊の予兆である(102〜121頁)。奢れる平家は久しからず・・・
<br /> ・本書は沼上氏の論文を集めたものだが、「彼の目の付け所」が面白くて、ついつい読み進んでしまう本である。ちくま新書であり安価でもありぜひとも読まれることをお薦めする。さらなる発見がありそうです。
最初から最後まで非常に示唆にあふれる内容だった。
<br />特に、組織の中に生きている人間にとっては非常にわかりやすい例えが多く、うなずける。
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<br />たとえば、
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<br />・創造性を強調する政策は、ルーチンワークを確実に遂行する能力が伴わなければ機能しない
<br />・短期のボトルネック(意思決定)と長期のボトルネック(マネジメントの人材育成)の両方を認識する必要がある
<br />・組織の機能はヒト次第、組織デザインは何も解決しない
<br />・自己実現の言葉が濫用され、その手前の承認・尊厳欲求の充足がおろそかになっている
<br />・組織内フリーライダーを防ぐにはエリートの明確な峻別と、信頼できる中間層の確保
<br />・決断のできない「おとしどころ感知器」のような経営者
<br />・育ちの良い優等生がキツネ(権力者の権威を借りてパワーを誇示する者)の温床
<br />・スキャンダルには「バランス感覚のある宦官」が登場する
<br />・組織の腐敗は、ルールの複雑怪奇化と成熟事業部の暇から始まる
<br />・宦官と武闘派の戦いは長期的には武闘派の敗北に終わることが多い
<br />・「秀才閑居して無用の仕事を増やす」
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<br />のような記述である。
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<br />様々な実例とその対処の方法が具体的に示されており、非常に実践的な内容となっている。
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<br />基本的なスタンスとしては「組織としてのアウトプットをいかにして高めるか」に注目して考え抜かれており、その本筋から外れているものは全て無用のものとして組織から排除する。まさに組織の本質を突いた着眼といえよう。
組織に対して、「官僚制」ほど
<br />悪印象を与える言葉はないが、
<br />本書は「官僚制こそ組織設計の基本」
<br />であると説く。
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<br />私も疑ってかかったが、本書を読むと
<br />「なるほど!」と納得させられ、
<br />私の考えの浅はかさに気づかされた。
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<br />また、学者とは思えないほど
<br />現実に即しており、
<br />思わず
<br />「うちの会社でもあるある。」
<br />と納得してしまう。
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<br />ぜひ自分の会社をあてはめながら
<br />読んでみて欲しい。