「整理法」というタイトルに惑わされて、何らかの方法論を述べていると思って読むと、期待はずれに終わる。
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<br /> 著者は脳科学が専門である。最近の脳への関心の高まりを背景に、現代では何かを発見するよりも、様々な情報を整理することが命題になっていると説く。これをすれば幸福になるということが
<br />説かれているわけではないし、人生が楽になるという人生論が説かれているわけでもない。
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<br /> 脳という観点から述べつつ、不確実性・コントロール不能性に満ちた世界で生きていく、脳の使い方の視点について述べた本である。既存のHow to本でもなく、整理術について語った本でもないところが新規な点であり、脳科学の成果を取り入れているところに独自性がある。
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<br /> 少々説明不足なところがあるので、星4つ。
「脳」「整理法」という言葉で構成されたタイトルにもかかわらず、脳にも整理法にもほとんど関係ない内容。
<br /> むしろ、人生の生き方に関する本であり、言わば当たり前のことを「脳」とか「偶有性」というキーワードを織り込んで述べているにすぎない。
<br /> だから、この本で、脳科学に基づく知見や、実務的なノウハウを得ようとしても全く目的にかなわない。
<br /> 「偶有性」(死ぬ確率50%といっても、半分生き半分死んでいるということはありえない。1人の人生においては、死ぬか生きるかのどちらかでしかない。人生は、そのどちらにころぶかの偶然=不確実性に左右されている。)や「セレンディピティ」の話など、興味深い部分もあるが、私にとっては、多くの部分はたいくつだった。
脳科学に関する専門的な本をイメージしていたのですが、そうではなく、人間の生き方のスタンスについて書かれた本だと思いました。最後の方に出てくる「クオリア」という言葉の意味がもう一つ良くわかりませんでしたが、全体的にはそんなに難解ではありません。
<br /> 最近良く耳にする「自力」や「他力」という言葉とも関連する感覚があるように思えました。
<br /> 少し考え方を変えて見るとこれほど世界が違って見えるのかと思えます。大変興味深く最後まで読めました。