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| “狐”が選んだ入門書
(
山村 修
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書評家としてきわめて良質な面白い書評を書き続けてきた著者が逝った。存命中から
<br />その正体に関してはいろいろな噂が立っていたことが懐かしい。
<br /> 本書ではヨーロッパ思想入門など、名著、良書が取り上げられている。
<br /> 著者最後の”書評”を心行くまで味読したい。 入門書というと普通、ハウツーものを考えがちだが、この本の捉え方は違う。そしてハッと気付かされる。あらゆる新書は本来、著者がいう意味での「入門書」なのではないかと…。
<br />そして空前の新書ブームの中、脇道に逸れた新書があまりに多いことを知る。
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<br />この本は著者の闘病生活の中から刊行されたという。その一ヶ月後、読者は訃報に接することとなってしまった。まっとうな姿勢から紡ぎ出されたことばの一葉、一葉に、生命の最後の輝きが宿る。存命中にこの作品が完成したことがせめてもの救いとなった。
<br />珠玉の1冊を遺された著者に感謝の意を込め、心からご冥福をお祈りする。
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