体系化を少し犠牲にしてでも分かり易さを追求するのが新書本の役目とすれば、著者は学者としての節度を守りつつ、
<br />可能な限り明快な提言とメッセージをぎっしりと詰め込み、その役目を充分に果たしています。
<br />「経営戦略は(分析)とは相容れない。その真髄は(統合)にある」
<br />「分析は組織効率を上げるもの。統合はバラバラを防ぎ全体の効果を高めるもの」
<br />「社員の自発性を尊重するあまり、戦略まで部課長に委ねるのは経営者の勘違い」
<br />「実務で実績があっても、経営者として駄目な人はいくらでもいる」などなど。
<br />単なるお説教や批判なら、ある程度の社会経験があれば誰でも出来ます。
<br />本書は単なるお説教や批判ではありません。過去50年もの膨大な量の企業分析を駆使した上でのメッセージです。
<br />様々な業界に関する企業分析の、劇的ともいうべき分かり易さは、一読の価値ありです。
<br />民間企業に勤めているなら、幅広いクラスと年代の方にお勧めできる良書です。
とにかく読んで気持ちの良い本です。論旨が明快で分かりやすい。「経営戦略」を教科書的に捉えるのではなく、「人間」という切り口からその根底に潜む真実を掘り起こそうとするところに新鮮味を感じます。読んでて「ああ、なるほどな」と納得させられました。また、第5章の「修練」は示唆に富みます。いま何をすべきか?アカデミックな経営戦略論より余程現実的な解かもしれません。新書でこの内容はお買い得と思います。
『事業は経営者で決まる』と言い切るところが面白い。
<br />ソニー歴代社長在任期間と売上高営業利益率のグラフは興味深かった。
<br />一部上場会社全社のグラフを見てみたい、と思うのは私だけではあるまい。
<br />20代、30代社員の仕事に対する姿勢観は『若者はなぜ3年で辞めるのか?』より等を得ていると思う。
<br />経営戦略が人依存と言い切るのであれば、どうやってその人を創るのか、
<br />又は創られるのか、の部分が物足りない。