ちくま文庫は押しなべて価格が高いが、内容は素晴らしい。
<br />外国語学習となると、英語で学生ならば英検、TOEFL
<br />社会人ならばTOEICなど試験競争みたいな意味が帯びすぎている。
<br />参考書籍も問題集も甘いタイトルでアホほど本屋に並べられている。
<br />問題集を解く行為は、学習というより消化だ。
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<br />著者は理系出身とあるせいか、
<br />外国語の学習に当たっては、論理的で現実的なことを指摘している。
<br />誰でもかれでもああしろこうしろとは言い出さない。
<br />きちんと身に着けるには毎日勉強しなくてはならないし、
<br />出来れば職業先生を見つけろという。
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<br />しかし、もっと特徴的なのは、外国語学習は多文化を知るという
<br />実り豊かな、実に楽しい行為であるということを説いている点に
<br />あるだろう。
<br />著者の母国語がハンガリー語という日本語と同じウラルアルタイ語族
<br />であるところにも共感しやすい。
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<br />職業訓練として外国語を学んでいる方のほかにも、
<br />学生でも中高年でも、外国語学習者は一度お読みになれば
<br />損した気にはならないはずだと思います。
この本、勉強にいきづまっているひとにはバイブルみたいなものです。精神安定剤みたいなものかもしれない。<br>当たり前といえば当たり前のアドバイスですが、ロンブーさんがいうからこそ説得力があるんです。<br> 語学をやっている人は読んでいくとよいと思います。<br>シュリーマンの「古代への情熱」と共通したものがあります。
今日色々なところで外国語学習の重要さを耳にしますが、どれもこれも妙に実利的で嫌になりませんか?仕事のため、将来のため、損なことばかりが母国語ではない外国語を勉強するきっかけだなんてつまらないと思いませんか?外国語を勉強する楽しさと素敵さを手軽な文庫で教えてくれるこの一冊を読めばきっと、そんなけちな了見から解放されて、外国語の深淵で素晴らしい世界にすんなりと入っていくことが出来るでしょう。ハウツーものではなく、研究書でもなく、エッセイとしてお楽しみ下さい。