「自分にしか書けないことを、誰にでもわかるように書く」
<br />というのが、筆者の考える「よい文章」だという。
<br />壮大なテーマ、わかりやすい受け売りの言葉から出発せず、
<br />自分の内面から出てきた「ことばの断片」を礎として、
<br />断片と断片を組み合わせて文章を組み立てていくことで、
<br />「自分だけの文章」が出来る。
<br />文章表現を自己表現の一手段として捉え、
<br />文字通り「文章を楽しむ」ことを説いた本。
<br />筆者は大学の講義を元に作成しており、
<br />例文の大半は学生の作品。
<br />そこに親近感を抱く一方、
<br />こちらを引き込むような文章が多いのに驚く。
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<br />文章を書くことを通して、人は変われる。
<br />そんな気を起こさせてくれた一冊だった。
愛知淑徳大学に勤務する著者が、自らの講義の内容をベースに、400字程度の短文を題材に文章表現の方法を指導する――。
<br />大学での実践過程を公開する書である。
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<br />ブックレビューを含め、ネット上での文章は「短い文章」が基本。
<br />短文を書くためのテクニックが満載で、得るところの多いなかなかの本である。
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<br />とくに参考になったのは「メモの断片から文章を作り上げる」という視点。
<br />第四章、第七章のところで詳しく述べられている。「メモの断片」を集め、自分が書きたいこと、自分に書けることの内容・中身が徐々に見えてくるようになると著者はいう。
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<br />「短文」というネット時代に適した文章術を論じている点、”文章のもと”となるメモの断片を数多く集める方法を論じている本書は、ウェブ上で文章を書く人々にとって、極めて参考となる一冊である。
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名文の定義をこれほど明解に言った人はいないかもしれない、「自分にしかかけないことを、誰にも分かりやすく書く」。では悪文とは「誰にでも書けることを分かりにくく書く」ことに他ならない。 この意味で、いい文章を書くにはどうするかについて、著者は大学で学生に教えた実例をもって詳しく説明しています。それは自分の思い、イメージをだいじにし、メモをとりながら熟成させる方法であり、文体までもが内容が自然に決めてゆくという。決して惰性で書かない。原稿用紙一枚の作文がこれほど輝くのはそのためでしょうか。<p>著者の他の類書、「中高年のための文章読本」もお勧めします。 文達者な(自分でそう思い込んでいる)人がいかにこの意味で、悪文を書くことになるか自分も含めて大反省させられます。いままでいろいろな本で読んだ文章修行法、例えば、文豪の文書を自分で書き写すだの、多読で名文のリズムをつかむ、は何かむなしく感じるようになりました。