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ペンと剣 ( エドワード・W. サイード デーヴィッド バーサミアン Edward W. Said David Barsamian 中野 真紀子 )

サイードの従来の議論と同じなので、その意味では新味はないが、翻訳が例によって見事で、訳注も親切で、その上もともとラジオ放送用インタビューなので全体にコンパクトで、本当にパレスチナ「問題」がわかりやすくまとめられている。親本がマイナー出版社だったので、いままで入手できないできたが、文庫本で、これだけ丁寧につくられているのは近頃稀れなので超お勧め。

コミュニティラジオで年余に渡って放送されたインタヴューをまとめた本です。 <br />私は、この本を読むまで「パレスチナ問題」というものをあまり理解していませんでした。でも、この本を読んで、時間の流れを追いながら広く、深く理解することができました。 <br />喋り方が上手かったのか、翻訳もいいのかわかりませんが、文章は読みやすいのです。そして、聞き手と語り手のキャッチボールが、とても誠実で、真剣で、迷いが無い印象を受けます。知的好奇心がぐいぐいと刺激され、読み始めると一気に読んでしまいます。そして、今までぼんやりとしか分からなかったもの、敢えて見ないようにしていたものに、光を当ててくれるかのようでした。 <br />TVでは隠された事実、当事者とコミットすることで生まれる視点、西欧(恐らく日本も)で見えないように、でも未だれっきとして存在している帝国主義…これらを見逃さない、見ない振りをしない、他者に伝えたいということ等々。それが今の世界で求められる本当に必要な知識人なんだろうなぁと感じます。 <br />サイードの存在に、脅えつつも勇気をもらって下さい。

 本書はコミュニティラジオで行われたサイードのインタビューを収録したものである。収録された時期が長期にわたるため、サイードのパレスチナ問題に関する意見や自らの著作に関する意見を時系列的に読むことができる。 <br /> インタビューという形式であるため、サイードの議論が非常に分かりやすく、かつコンパクトにまとめられている。その点ではサイードの考え方を知るには非常に良い本だといえるが、本書の魅力はそれだけではない。パレスチナ問題に関わることでサイードの身辺は非常に危険な状態に追い込まれていくのだが、その中であっても現実に知的な誠実さをもって対峙していくサイードの姿を本書では垣間見ることができる。本書において我々は知識人の理想形を見出すことができるのではなかろうか。 <br /> 本書はパレスチナ問題の本質を理解するのに最適な書物のひとつであるし、サイードという思想家の議論を知る非常に良い本でもあると思う。しかし、何よりも本書はサイードという思想家の姿を通して知識人とは何かを学ばせてくれる本だ。

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