文化人類学者の真面目で小難しい理屈っぽい本ではなく、一般の人が感じる素朴な疑問に応えてくれたり、眼からうろこのさまざまな知識を与えてくれる一冊です。
<br />昔の人は「お月様」の時どうしていたのかな?という疑問を長年持っていたものの調べ方もわからないし、誰にも聞けなかったのですがこの本で謎がとけました。
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<br />あとがきを見て、米原さんが自分に残された時間が少ないのを知っていたことがわかりました。そんな中でまさしく最後のテーマとして取り組んだのがパンツであったり、ジョークであったり、
<br />米原さんらしいな、と思います。
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PR誌「ちくま」連載中から単行本化を楽しみにしていた本です。個人的にこうしたトリビアな知識をまじめに論じるエッセイが好きで、この本にもいろいろな収穫がありました。ただ、毎月の展開を楽しみにちょこちょこ読むにはよかったけれど、こうしてまとまったものを読んでみると、著者自らがあとがきでも言い訳をしているように、「大海に乗り出していくものの、燃料も航海技術も足らないことが判明して、浅瀬でぱしゃぱしゃと水を掻いただけで引き返してくる」という印象は否めないでしょう。<br>でも、米原さんが興味・関心の赴くままに資料を集めひもとく過程をみせてもらうのはやはりおもしろい! 得意のロシアにとどまらずヨーロッパ、聖書や日本古典まであたってパンツやふんどしの世界の奥深さを垣間見せてくれた功績は大きいと思います。浅瀬や岩場にあるめずらしい貝やおもしろい魚をみせてくれることだって大切です。この本を入り口にして、人類学・民族学・服飾文化史を志す人もでるはずです。<br>納得がいかないながらも個人的事情で出版に踏み切った由、後進のための肥やしだのフンドシ担ぎなどとおっしゃらず、さらに考察を深められ、いつの日かぜひ改訂版、新版を! 希望をこめて。
サンデー毎日のコラム、週刊誌の書評、書籍と追っかけファンです。
<br />でも本書でおもしろかったのは、手作りパンツのところだけで、
<br />あとははっきりいって、興味がありませんでした。
<br />いつものような迫力が感じられなかったのです。
<br />特異な経歴を生かし、小説、一般評論、政治批評を
<br />やはり書いてほしいです。これはラブコールですから。
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<br />ところが、06年5月25日に亡くなられてしまった。
<br />強烈な小泉首相批判がちりばめてあった新書を最後に読んだが
<br />いつもアドレナリンが噴出しているような体質の彼女ゆえ
<br />死期が早まったのか。論客としてまだまだかいてほしかった。
<br />残念だ。