葛飾北斎の絵を使った表紙とタイトルの時点だけでも
<br />勝負あり!な好・濃・高インパクトの本です。
<br />もちろん内容はちゃんとした本でして、
<br />生殖/性活動が担っていた、社会的・経済的な意味を、
<br />はばひろい階級の事例をもとに押さえてあります。
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<br />長男相続がモットーだったようなイメージをうけがちな
<br />江戸時代の家族のあり方ですが、実際それが徹底されていたのは
<br />江戸時代の武士だけであり、たとえば商家の場合だと
<br />長男が相続する場合は、長女が入り婿をもらって相続する場合より
<br />貸し付けの額が「信用ならぬ」ということで減った・・・などという
<br />エピソードが多数紹介されていて、「へぇー」の連発でした。
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<br />おもしろく、しかもなかなかに読みやすく作ってあるので
<br />サクサクと読んでいけますよ!
<br />個人的には、最近いろんな発見がある
<br />大奥関連などは典拠としている資料が若干古いかな、と
<br />思うところもありましたが、なかなかのオススメ本です。
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今の常識で過去を簡単に判断してはならない、と改めて感じる。過酷な統治だけではあれほど長くは続かなかったであろう徳川体制。その秘密の一端をかいま見ることができる。特に妾の存在の意味や、武家階級はお世継ぎが男で、娘しかいない商人は婿養子をとって女系を継承したというのはなるほどと思わせ、現在の天皇制の「女帝」と「女系」の違いも考えさせる本。
タイトルだけみればキワモノのように思えなくもないけれど、内容はすばらしいの一語。
<br />将軍や武家(一部町民も扱う)の代替わりに着目して、江戸時代が260年あまりもつづいた秘密の一端を解き明かしてゆきます。
<br />著者の碩学ぶりが随所にうかがえ、紹介される豊富なエピソードも安心して読んでいられます。
<br />読み進むうちに今までとは違う江戸時代の風景が浮かび上がるようで、これも楽しい体験でした。
<br />歴史ファンには、また1冊、読むべき本が加わりました。これだけは間違いありません。