「トゥルーデおばさん」に続く諸星先生のグリム童話シリーズ。
<br />前作同様、内容の濃い作品ぞろいです。
<br />冒頭の「七匹の子やぎ」の現代風アレンジも斬新ですし
<br />「スノウホワイト」も知らない人のいない有名な童話の裏にある恐ろしさを描いて秀逸です。
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<br />それにしても、バイオテクノロジーやベンチャー企業、イラク戦争まで
<br />グリム童話に取り込むことのできる諸星先生の想像力の豊かさには驚嘆します。
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<br />原初的な恐怖を掬い取る名人であり、現代社会に対する批判の目も持ち合わせた
<br />作家というのはあまり多くは存在しないように思いますが、
<br />諸星先生はその数少ないひとりだと思います。
<br />この本を読んでいる間、豊穣な作品世界に浸る楽しさを充分味わいました。
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「トゥルーデおばさん」の続編と言っても良いでしょう。諸星ワールドのグリム童話、楽しませてもらいました。どちらかと言えば、初期の諸星氏に近い読後感でしょうか。この本にも「ラプンツェル」が入っていますが別作品。私は今回の話の方が好きです。もう一つ気に入った作品は「長靴を履いた猫」を題材としたもの。私が諸星作品に期待している、怪しさ、意外性、そして残酷さがすべて網羅された作品だと思います。作者自身も詳細な後書きも秀逸。原作の背景や、作品化の過程を彷彿とさせます。
<br />タイトルの「スノウホワイト」も期待通りで満足。タイトルにした理由がわかります。