ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実 みんなこんな本を読んできた ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実
 
 
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ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実 ( B.エーレンライク 曽田 和子 )

本書はアメリカの女性コラムニストが同国の貧困層の実態を探るため、低賃金労働の現場を潜入レポートしたもの。題名は「5セント硬貨」を指すが、転じて「貧困に苦しむ」様子を示している。アメリカは徹底した競争社会であるからビル・ゲイツのようなスーパー・リッチも居れば本書で触れられるような貧困層も存在する。著者は副題にある通り、下流層に焦点を当てて、いくら働いても生活が楽にならないこの層の実態を抉り出す。しかし、自ら現場で労働体験するという著者のパワーと心意気には感嘆させられる。 <br /> <br />著者が体験したのは以下の3つの職業。ウェートレス、掃除代行業、スーパー(ウォールマート)の店員。詳細は省くが、得られる収入では一日を生きるのに精一杯という悲惨な実態をこれでもかと暴きだす。家族を持っていたら事態は更に深刻になる。これが本当にアメリカの話かと疑いたくなる程だ。特に、そうした低賃金で労働者を雇っている企業の倫理観の低さも問題視する。当然、低所得者の精神も荒廃する。収入と自尊心、これが両方とも危うくなるのだ。 <br /> <br />本書の帯に「日本にも迫り来る」とあるが、フリータの増加等そうした所得格差の傾向も垣間見られる。「貧すれば鈍する」という言葉があるように、所得の極端な格差は社会の停滞の元である。本書を対岸の火事と見ないで、日本の政治・社会を注視して行きたい。

 筆者は生物学の学位を持った作家&エッセイストで、ブルーカラー労働者から努力のすえジレットの役員になった父親を持つ。そうした家庭環境から、下層の人々の生活状況をなんとか改善したいとの思いが伝わってくる本である。 <br /> 労働の実体験と、自然科学者らしいリアルな描写が本書の価値を高いものにしている。 <br />

著者は80年代以前よりミズなど有名な雑誌に寄稿していて、著名なコラムニスト兼作家。 <br />名前に記憶があった。エーレンライクは婚姻で得た姓で、旧姓はアレキサンダーであるとのこと。 <br />ひと月ほど前夕刊紙で紹介されていたので読んで見た。 <br /> <br />結論  「はたらく貧困層の一員であることは、自分以外のすべての人に <br />名も告げずに施し物をする匿名のドナー」である。 <br /> <br />全世帯の約2割がメイドサービスをつかっているという米国。 <br />米国の醜部を身を持って示してくれる、彼女はすごいとおもう。 <br />「覗き」だという読者もいるが <br />筆者はそうはおもわない。 <br /> <br />ミネソタのキャサリンとのエピソードに感動の涙。 <br /> <br />ウォルマート関連の事実にはおどろかされるし、西友の社員は <br />どうなるんだろうかなどとドキドキする。 <br /> <br />訳は原文に忠実で読みやすい。米国で100万部売れたそうだが <br />日本でこれをやれる女性ライターがいるかどうか。 <br />

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