内容は面白いです。ただ非常に気になるのは著者がある種の偏見を持っているのではないのかなという想いです。スティーブ・ジョブズは確かにこういった人間なのかも知れませんがそうでないかも知れません。そんなところがちらちらかなり多く垣間見られました。たとえば、「トイ・ストーリー」が大ヒットして栄誉に輝いたイベントでジョブズが監督のラセターを壇上にあげずに自分で栄光を独り占めしたと書いてありますが、実際にそのシーンを映像で見たのですが全然そんなことはありませんでした。壇上にはジョブズのみ呼ばれて賞を受けその次にラセターのところに行って彼の手を持ち上げて観衆に応えていました。だからちょっと偏見があるのか、エキセントリックなだけの人物表現をしたいのか戸惑います。
小学生の頃の確か「2人のスティーブ」(だったと思う)という漫画を読み
<br />子供ながらに初めて「パソコンというものを作った話」に痛く感銘を受けていたのを覚えています。
<br />その影響か10数年たち初めてパソコンを買ったのも国産ではなくMacでした。
<br />僕はこの話、ビジネス書ではなく一人の男の半生の「伝記」として読まさせてもらいました。
<br />人格的にまるでマーブルケーキ色のジョブズ氏。リーダとしての天性の才能・またどうしようもならない
<br />わがまま、癇癪を持つ人。最高のリーダーと「くそったれ」の両性を併せ持つ人間。でも、この人だから
<br />ここまでできたといえることもわかりました。
<br />数年前、テレビで「この業界では僕はもう老人ですよ。」と控えめに話していましたが、
<br />どうしてどうして、まだまだチャレンジ精神は旺盛なようです。
<br />いずれにしても個性が強く「人間として」は魅力的な人であると思います。
この本を読んだジョブズが激怒。出版社に販売中止を要請。出版社が言うことを聞かないと
<br />見るや、アップルのオンライン・ストアからこの出版社(ちなみに、かなりメジャー)を追
<br />い出した!
<br />
<br />この過激な一幕を聞いてしまっては読まずにはいられないだろう。
<br />
<br />初めての「一般人でもつかえるパソコン」マッキントッシュ、iPodとiTunesStoreによる
<br />音楽配信産業の開拓、PixarでのフルCG長編映画という分野の開拓と大成功。3つの分野
<br />で「アイコン」となったジョブズ。その半生記。その軌跡も凄まじいが、それよりさらに
<br />面白いのは、ジョブズという人間の人格そのものである。どこまでが事実で、どこまでが
<br />ストーリーテラーの腕なのか分からないが、とにかく、すさまじい。詳細はここで語って
<br />も意味がないので、是非本書を読んでいただきたい。著者のヤングは、ライターや雑誌編
<br />集者として長年Appleやシリコンバレーに関わってきているらしい。以前に別のジョブズ
<br />本も出版している。また、多くの周辺人物にインタビューも行っているようで、内容の信
<br />憑性はかなり高そうである。(そうでなければ、ジョブズ相手なら裁判沙汰になるだろ
<br />う。)
<br />
<br />とにかく、このページに辿り着いて、このレビューまで読んだ人なら、この本は読んで
<br />損はないと断言できる。