本書のキーワードは、「言語化」だ。リーダーシップや組織行動論の研究で著名な著者が、リーダーシップに関する内外の各種研究を紹介しながらも、あえて個々の経営者が持つローカルな持論も尊重し、読者一人ひとりが自分のものに咀嚼していくことを最も重要視する主張が、一貫している。
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<br />文献紹介も豊富だ。参考文献の羅列に終わらず、リーダーシップに関する書籍を、著者自ら厳選して紹介している。ひとつひとつ丁寧に紹介しているので、ひとつでも選んで読んでみようという気になるものだ。学習意欲を継続的に持たせてくれる効果も、高い。
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<br />終章で、著者は本書を「自分で考え自分の言葉でリーダーシップ持論を構築しそれを実践するためのガイドブック」と説明している。新書版にもかかわらず、300ページを超えるボリュームで、内容も非常に濃いので、入門書と位置づけられていても、リーダーシップについて問題意識を持っていないと、通読は難しいかもしれない。だからこそ持論を磨き上げるために何度も読み返して欲しいバイブルである。
読み始めたところだが、むやみに改行が目につくく。理論の引用をひたすら羅列し、途中に図表が多く挿入されて文章が細切れになっている。内容以前に、非常に読みづらいので、もう少し読みやすい文章構成にできないものか。
<br />文中で各理論について出典を紹介しており、巻末に参考図書も多く紹介されているので、リーダーシップの理論に興味がある人が、手始めに読むにはいいかもしれない。いきなり本書だけを読んでもリーダーシップを実践するところまでたどり着くのは難しいのではないだろうか。
●実践については、実際のエクササイズがある。<br>これをグループで行うことでリーダーシップについての理解が深まることだろう。<br>また、最高のリーダーシップ実践家松下幸之助氏、ジャック・ウェルチ氏を例に出し、<br>彼らのリーダーシップをリーダーシップ論の立場から分析、考察している。<br>『達人の道も一歩から』ということをわかりやすく示してくれている。<p>●理論については、豊富な理論紹介がある。<br>わかりやすくかつ適切な量でさまざまな理論が紹介されている。<br>興味を持った理論に向かえるように参考図書も豊富である。<p>●キーポイントは、<p>/// 実践(経験・観察)→内省→言語化→実践 ///<p>というプロセスだ。<br>この学習プロセスには、汎用性がある。<br>個人のシンキング・パス、組織活動、企業戦略などに幅広く活用できる。<br>(そもそもリーダーシップ自体汎用性があるとこの本は言っている)<p>●筆者の主張のひとつは<p>『全ての人にリーダーシップはあり、<br>誰もが、リーダーシップを磨くことができるのだ。』<br>ということだ。<p>☆多くの日本人がリーダーシップを発揮できるような予感を漂わせる<br>素晴らしい【入門書】(あくまでも入門!)であると言えよう。