キャリアをどのようにデザインしていくかを示した。
<br />神戸大の金井氏とならぶキャリア論の第一人者の本。
<br />日経文庫ではあるが、一種自己啓発的な本である。
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<br />特徴的なのは、年代ごとに何を考えるべきか、を
<br />示しているということ。キャリアの節目が大切
<br />というような議論はこれまでなされてきたが、
<br />具体的に年代ごとにどのような決断をすべきか
<br />というところに触れている点が、自分の身に置き換えやすく
<br />分かりやすい。
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<br />(1)は筏下り編、ということで30代半ばまでに
<br />身につけるべき基礎力について解説している。個々の
<br />能力の解説も丁寧でわかりやすい。
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<br />キャリアデザインの専門家向けというよりも、
<br />万人が読むべき本という風に思う。
自分のキャリアを作るうえで配慮しなくてはならない人生の各段階ごとの転換点を説明してくれる本。ナルホド、そういう事だったのか!と膝を打つような新しい示唆を与えてはくれないが、人生の起承転結を俯瞰する視座を提供してくれる。目の前の仕事に疲れ果てているときに、人生における「今」の意味を見失ったときに、読むとよいかも。
キャリア教育は今学校での流行ことばだ(現場ではなくお上からの流行らせことばといったほうが良いかもしれないが)。
<br /> 今まで、私はキャリア教育はフリーターやニート減らしのための就労指導だと感じていたためあまり乗り気ではなかった。だが、本書を読んで、子どもたちにとって、キャリアデザインという考え方を身につけさせて社会へ送り出すことは重要な事だと感じるようになった。
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<br /> 『仕事にはその分野で必要とされる専門力以外に、すべての仕事に共通する基礎力があり、基礎力はどのような仕事に就いていても身につけることができる。』この辺りはおもしろくないからと早々に離職する若者や、やりたい仕事じゃないからと就職しない若者に是非知ってもらいたい部分である。
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<br /> また、女性にとってキャリアデザインがいかに重要なのかもアンケート調査などを示して解説してあり、出産前後のキャリアに対する意識のゆらぎなどは興味深いデータであった。