キャリアをどのようにデザインしていくかを示した。
<br />神戸大の金井氏とならぶキャリア論の第一人者の本。
<br />日経文庫ではあるが、一種自己啓発的な本である。
<br />特徴的なのは、年代ごとに何を考えるべきか、を示しているということ。
<br />キャリアの節目が大切というような議論はこれまでなされてきたが、
<br />具体的に年代ごとにどのような決断をすべきかというところに触れている点が、
<br />自分の身に置き換えやすく分かりやすい。
<br />(2)は山上り編、ということで30代半ば以降に専門性を高めていく部分について解説している。
<br />専門領域を決めるという意思決定が必要なこと
<br />さらに、その意思決定はある意味結婚と同じレベルで考えるべきというのはとても分かりやすい解説である。
<br />また、50歳代、60歳代まで言及しているところが著者の懐の深さと感じる。
<br />キャリアデザインの専門家向けというよりも、万人が読むべき本という風に思う。
自分のキャリアを作るうえで配慮しなくてはならない人生の各段階ごとの転換点と注意点を説明してくれる本。特に、当該領域である程度の経験をつみ一人で仕事が出来るようになったあと、どのような選択肢があり得るのかを提示している事はなかなか面白い。平均寿命が延びて、「もう1回テイクオフ」する事が昔に比べれば容易になった今日、人生をどのように充実させるかを、職業やキャリアの面から考えるには良書。しかし、読んで「エネルギーが湧いてくる」といったエクスタシーはない。比較的、淡々と論が述べられているので、その冷静さも良い。
「筏下り」で、自分を厳しく律し、仕事基礎能力を高め
<br />たら、ある年代になります。その後、キャリア人生を、
<br />山登りのごとく、プロフェッショナルとして、世間でも一目
<br />おかれるその道を究めた先達としてのキャリアの成功を
<br />勝ち取ることができれば、その人は逝く時に、満足な人生を
<br />振り返ることができる。
<br />
<br />そういった、ビジネスプロフェッショナルに到達するステップを
<br />深い思索と、世界の碩学の研究を随所に入れつつ、著者は
<br />簡潔な名文で、職業人生のさまざまなあり方を説いていきます。
<br />
<br />特に印象的なのは、その人の職歴、略歴を書く時に、実績を
<br />重ねるほど、簡潔な自己紹介になる、というくだり。
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<br />キャリアデザイン、キャリア開発とは、つきつめると、優れて
<br />人生哲学、自分は何のためにこの世を生きているのか?
<br />という、レゾンデートルにかかわる、一番大切なことだ、と
<br />いう実感と自信を持つと同時に、今後の悔いのない人生設計を
<br />再度見直す機会を与えてくれる、座右の書のひとつです。