正直、かなり面白い本で一気に読みきることができました。自信を持って、星5つをつけることができます。
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<br />内容は中国の魔力に魅せられたイギリス人エリートによる、中国ビジネス体験記といったところですが、この本を読むことで中国のダイナミズム、中国経済の闇などを深く理解することができます。
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<br />どちらかといえば、中国を舞台にした小説といった印象で、専門的な用語などはまったくでないので、特に経済に関する予備知識がなくてもすらすら読むことができます。
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<br />経営的な視点からみれば、なぜ中国との合弁企業がうまくいかなかったのかということをきわめて明確に示しています。
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中国の恐ろしさがよく描けている。
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<br />著者はイギリス人で、アーサー・アンダーセン勤務の会計のプロ。
<br />彼はウォール街の大物インベストバンカーと組んで中国投資ファンドを立ち上げる。
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<br />だが、投資先企業の選定はかなりシビアに行ったにもかかわらず、近代国家の常識では考えられないような「苦行」に見舞われる。。。。
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<br />読めば絶句するような裏切りとウソと共産党の横暴ばかりで、どれも著者の体験だから、リアルさが半端ではない。中国でビジネスをするなら、これを読んだほうがいい。
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<br />中国株に投資する人も読んでから投資したほうがいい。中国企業というのは、無茶苦茶なところなのだ。
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<br />中国に「法の支配」はない、と実感した一冊。
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<br />とはいえ、嫌中国というわけではないので、中立的に読めます。
米系中国投資ファンドの奮戦記。著者はウォール街出身のアメリカ人と組んでファンドを立ち上げたイギリス人。米国の投資家から如何に金を引き出すかという話も興味深いが、投資先との出会い、投資の決定、トラブルと泥沼のような駆け引き、更にその解決といった一連の流れが複数の事例で紹介される。事例の多くが負け戦なのが切ない。特に印象に残ったのは「最後の闘い」のゴム製造工場経営者のシー。野心の追求のため、手を変え品を変え、著者達に向かってくる様は、ハリウッドのホラー映画を髣髴させる。他にも「天に九頭鳥あり、地に湖北人あり」との諺で評されるモーター工場のチェン。出てくる人物が全て個性的だ。底流に流れる「中華思想」に揺るぎが無い以上、90年代初頭の話とはいえ普遍性を持って迫って来よう。こんな目にあいながら、今も中国に残る著者のタフネスに脱帽。