帝王学―「貞観政要」の読み方 みんなこんな本を読んできた 帝王学―「貞観政要」の読み方
 
 
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帝王学―「貞観政要」の読み方 ( 山本 七平 )

「仕事にも慣れてきたし刺激がない。世の中馬鹿ばっかりだし。あー退屈だ。」と思っていた矢先にこの本と出会いました。少々天狗になっておりました私には非常に身につまされるものがありました。 <br />この本の主人公、古代中国・唐の2代目皇帝太宗(たいそう)である李世民は優れた政治を行った名君とされています。唐の前は隋の時代。彼の父がクーデターの形で隋の皇帝で一般に暴君とされる煬帝(ようだい)を殺害して唐を興しました。そしてその息子である李世民が太宗として皇帝になるまで戦乱の世が続きました。「貞観(じょうがん)の治」と呼ばれる平和な世を作り出した李世民ですが、なんと元々は弓が得意な武将。父から受け継ぐ皇帝の地位をめぐって3人兄弟が熾烈な争いを繰り広げ、結局李世民が二人を殺害する形で皇帝になりました。 <br />なぜこの喧嘩っ早そうな武将出身の皇帝が中国史上最高の名君とされるほど優れた政ができたのでしょうか。それは素直な性格で優れた部下の意見をよく取り入れたから。 <br />彼の周りには賢い側近が複数いました。太宗は自分は政治のことは何も知らないと良く心得ていて賢人たちにあれこれ質問したり、ときにカッとなって馬鹿な行動を取っては叱られたりしていました。そんなやりとりを後の人がまとめたのが「貞観政要」です。 <br />本書は著者が印象に残っているやり取りを抜き出して、現代の私たちにもわかりやすく解説をつけてくれたものです。なかでも「人物の評価の仕方ー地位のある人に対してはどこを見るかーその人物の登用の仕方、金の使い方、余暇の過ごし方を見よ」という教えには「なるほど」と感心してしまいました。著者である山本さんがその時代背景や太宗と各アドバイザーたちの関係も説明して下さっているので、中国の歴史に疎い私でも面白く大変分かりやすく読むことができました。 <br />自分にはこんなに良いアドバイスしてくれる人なんかいないよ!という方、ぜひご一読ください!

山本七平氏が表した本書は、最初の出版から随分と時間が経っている。氏が訳したと言われている「日本人とユダヤ人」と同じく、日本人を考えるうえで必須の予備知識となりつつあるのかも知れない。その意味で読んでおいて全く損はない。 <br />しかし同時に、氏の一連の著作について反対意見や疑義を呈する人達も存在する。氏の著作と同時に、そのような反対意見(書籍になっている場合もある)にも耳を傾けるのも、現代における知や思想の醸成に役立つだろう。

中国皇帝として唐の時代に貞観の治と呼ばれる最高の治世を出現させた二代目太宗李世民の政治を、語ったのがこの本で、リーダーとはどうあるべきか?を語っている歴史時空を超えた大ベストセラーと思えばいいだろう。僕も会社の先輩から、ぜひ読んでおけと渡されたものです。内容は至極真っ当だが、それを実践するのは酷く困難であろうと思い、よく読み返しています。<p>しかしそうした教訓として読むよりも、そもそも日本の政治思想や民間への伝播など物凄い巨大な影響力があったであろう本書の研究が「ほとんど為されていない」という現実に、驚きを隠せない。徳川家康や北条政子が、その統治の核心・手本として生涯学び続けて研究し、しかも江戸時代の知識人の常識であったような『貞観政要』が、である。おそらく鎌倉時代以降日本で最も読み継がれた本が、である。故・鬼才山本七平さんは、古今東西の古典を本当の意味で読みこなす能力を持っており、しかも資料マニエリズムに落ち込むことなくダイマミックな思索の材料として展開する人でしたが、その彼が何度も批判する割に原典や著作も読みもしない批判者が多く、また日本社会は忘却するのが物凄く得意で、歴史上凄まじい規模で中国のオリジナル思想・書物から影響を得ているのに、それが綺麗さっぱり忘れ去られると語っていましたが、それを強く思い出しました。そう云えば社会学者宮台真司も日本はナショナリズムを持つには、忘却癖が強く、韓国のように歴史的怨念を子々孫々に伝えることは全くできないと喝破していたっけ。<p>ちなみにこの『草創(創業)と守文(守成=維持)といずれが難きや』が貞観政要から引用されたものであるということを知らなければ、昭和天皇が守文を旨とする教育を徹底的に受けたという事実や山本七平の昭和天皇論は、理解できないだろう。そもそも唐の皇帝太宗は、創業とその維持の両方を経験し、しかも成功させた稀なリーダーであったことが、後世に影響を与えた大きな理由の一つである。

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