最近日本に戻って、あらためて日本という国のraison d'etreは、と無意識のうちに何度も問い直す、そんなときに目に付いたのがこの本でした。
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<br />タイトルがベタなのですが、ハーバードのビジネススクールでも研究していた著者の文章は、自己主張優先で、と断っているにもかかわらず、事実とその裏づけの少ない事柄とをきちんと区別していて、論理展開もわかりやすく、そしてバランスの取れた内容になっています。
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<br />中でも共感したのは、「第一章 迷走した日本のもの造り論」で述べられている「製品の違いを無視した粗雑な議論」、「なにがなんでも中国に行って低賃金を活用するしかないというような雰囲気的悲観論」、「景気全般や企業業績の数字に引きずられ、日本の製造業は終わったかのような議論」等十把ひとからげの論調に感じる違和感、そして全編を通じ、それらを切り分けて、整理していく中で使われている、アーキテクチャというコンセプト。このアーキテクチャと製品、アーキテクチャと組織、そしてアーキテクチャと国または地域との相性という視点が、実にすっきりと企業の戦略的事業・地域展開に指針を与えてくれます。
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<br />「プロジェクトX」や「ガイアの夜明け」もいいけれど、こちらもじっくりと読んでほしいですね。
しっかり読みこなそうとすると結構たいへんだが、
<br />やはり隙のない内容で信頼できる。
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<br />さすがという感じの本でした。
<br />教科書的に今後も何度も目を通すのだろうなと
<br />思います。
MOT(マネジメント・オブ・テクノロジ)を学ぶ中で、藤本先生の本を紹介される機会が多いのですが、評価が高いのが本書です。一番の理由は、先生が著された本の中では一番分かりやすいから、ということですが。
<br />長年研究されている”トヨタ自動車”の例は、やはり密度が濃いですね。トヨタはもっと儲けが出ていいはず、という意見には大賛成です。
<br />日本の企業は総じて、間接部門の生産性が極めて悪いと常々感じています。あのトヨタですら、その例外ではないということなのです。
<br />現場をいじめて、搾り取った結果でぬくぬくしている間接部門では、企業全体が凋落するのは当たり前でしょう。いかに商品に付加価値をつけるか、如何に自分自身を小さくするかが間接に課せられている使命ですね。