フラット化とは、つまり今までの国・企業レベルにおける官僚的な支配構造から、個人の力が
<br />増大し、よりグローバル化されてきたということ。
<br />象徴的な出来事として、ベルリンの壁崩壊による社会主義国家の民主化が挙げられ、さらには
<br />2000年問題、ITバブルの崩壊を通して、インド、中国へのアウトソーシング・オフショアが
<br />加速したということが挙げられている。
<br />
<br />また、WEB2.0に代表されるグーグルの台頭、オープンソーシングの躍進が述べられている。
<br />
<br />正直、IT業界に身を置く私にとって、目からウロコの情報はなかった。
<br />しかし、本書において、やたらと日本に関する記述が多い事が気になった。
<br />以下に、出現キーワード数10傑をまとめてみた。
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<br />1.マイクロソフト
<br />2.中国
<br />3.ウィンドウズ
<br />4.日本、ネットスケープ、IBM
<br />7.パソコン
<br />8.グーグル
<br />9.インターネット、光ファイバー
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<br />上位3位までは、まぁうなずけるが、4位に日本が来ているのには驚いた。
<br />本書の中で、フラット化の要因として10項目挙げているが、最後の10項目目に
<br />日本のインフラ(無線)と、モバイル技術について挙げられている。
<br />
<br />我々日本人は、バブル崩壊から16年、そろそろ自信を取り戻す時期に来ているのでは
<br />ないだろうか。
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下巻まで全て読み終わってのレビューであるが、いや素晴らしい。
<br />今年(2006年)私が読んだ本の中でダントツのベストである。
<br />大抵の本は、読み終わったらマーケットプレイスに売りに出す私だが、
<br />この本だけは、この先何度も繰り返し読みたいと思う。
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<br />春頃に読んだ「ウェブ進化論」は、私にとって大きな刺激ではあった。
<br />ところが、秋頃にこの「フラット化する世界」を読むと、
<br />「ウェブ進化論」がまるで縮小コピーのように思えてきてしまった。
<br />
<br />「ウェブ進化論」が、世界のIT業界に生きる梅田氏の
<br />「皮膚感覚」に基づいて書かれていたことに対し、
<br />(それはそれで貴重であり否定されるものではないが)
<br />この「フラット化〜」は、作者が定評のあるジャーナリストだけあって
<br />述べられている「具体的事例」は、足で稼いだ丹念な取材に基づいたものだ。
<br />さらに紹介されたいくつかの事例では、
<br />「米国の地方自治体が、地元の産業振興と雇用確保のために、
<br />より安価なインドの業者を締め出すことは是か非か?」
<br />と言うように、実に奥深く悩ましげな問題も提起されている。
<br />これら問題に対し、作者は読者に丸投げせずに
<br />自らの「回答案」も示しているが、もちろんこれは「正解」ではない。
<br />やはり我々が自ら答えを出し、自らの行動指針とするべきものだろう。
<br />
<br />この本でつくづく思ったのは、
<br />「世の中で起きている本当に重要なことは、実はテレビや新聞では報道されない」
<br />と言うことだ。
<br />マスコミで報道される「事件」は、「本当に重要なこと」が起きた後に
<br />しばらく時間が経った後に表面に表れる「ひとつの結果」でしかない。
<br />
<br />この本で紹介されていることこそ、
<br />我々がなかなか気づかない「本当に重要なこと」だ。
<br />数十年後にはおそらく歴史的転換点として記録されるだろう変化が、
<br />いままさに起きていることをこの本は教えてくれるのだ。
<br />IT業界に限らず、全てのビジネスマンにお勧め。
世の中が均されていく様子(フラット化)が観察とヒアリングによりとても面白おかしく書かれた一冊です。
<br /> 改めて世界の有様に思い巡らすと納得できる考え方です。国が盛衰は教育にかかっていることを再認識できました。
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